良い印象がなかったウバユリ

奥羽山脈の西山麓では果樹栽培が盛んで、リンゴ、サクランボなどの畑があります。

山沿いの道を山寺方面に車を走らせると、天童市下萩野戸付近に細い林道があり、奥には砂防ダムがあります。

林道途中の杉林脇に、細い谷川と叢(くさむら)があります。

そこを定点観測地としていつも通っていました。

春になるとその叢で、植物の芽吹きが見られますが、とりわけ葉が大きい植物に気がつきました。

近くに何株か生えています。

若葉は黄緑で大きい葉なので目につきます。

何だろうと思いながら観察していると、1~2週間で葉だらけの大きな植物に育っていきました。

薄暗い林道の下なので不気味な感じさえします。

それを過ぎると花茎が出てきたのです。

その花茎の様子から、ウバユリではないかと思いました。

HP訪問者の中に「ウバユリ種の受粉戦略」と検索された方がいます。

私自身もそのうち書こうと考えていたので、今回書くことにしました。

高瀬のハス田近くの叢でウバユリが花を咲かせている写真を撮りました。

そこは陽当りが良いところで、下萩野戸とは違って悪い条件ではなかったのです。

宮城県村田町の山中でも見かけたのですが、やっぱり杉林の下でした。

これらの事例から全体として陽当りが良くない方が育ちやすいのではないかと思われます。

陽当り以外の他にどんな条件があるのか、考えていきたいと思っています。

このときのウバユリは既に花が終わって実をつけていました。

ウバユリはたくさんの花をつけますが、その時は葉がなくなると言われています。

いつも花茎だけしか見ていなかったので、下がどうなっていたのか覚えていません。

ウバユリもユリ科なので、他のユリ科同様に、子孫を増やす戦略は種をつくることと、鱗茎(りんけい)で増える2つの戦略を採っていると予想しています。

下萩野戸の林道沿いではウバユリが何株か生えていたのは、鱗茎の増加によるものと思われます。

種については直接見ていませんが、テッポウユリと似た風に舞いやすい種ではないかと予想しています。

当たっていると嬉しいのですが。

ウバユリは山菜として、「春に若芽を摘み、ゆでて水にさらしてからおひたし、あえ物にする。鱗茎は秋~冬に堀り塩ゆでしてからあえ物、煮物、天ぷら、甘辛煮にする。」と「四季の山野草」(畑山陽一 三興出版)に記されています。

他のユリ科と同じように調理されているようです。

いつか食べてみたいものだと思っています。

(ユリ科 ウバユリ属)

カモ撮りこうちゃん