見つめ合って動かなかったニホンカモシカ

山形県から宮城県に抜ける県境の国道(48号や283号)を走っていると、崖下や雪の積もる杉林の樹間で、偶然ニホンカモシカ(以下カモシカ)を見かけます。

見かけるのは全くの偶然です。

そんなカモシカですが、里の近くでも見かけることもありました。

天童市の原崎沼はヘラブナ(ゲンゴロウブナ)釣りの名所ですが、夏のある日、その遊歩道をカモシカが横断して山手に歩いていくのを見かけました。

こんな場所にと驚きながら、その様子を写真に撮りました。

奥羽山脈に繋がっているから、こんな里にまで降りてくるのでしょう。

次に出会ったのは、宮城県村田町から川崎町へ抜ける県道14号線を走っていた時です。

ススキ原にカモシカを一瞬見かけました。

車をバックさせ停め、カメラを持ってカモシカが見えるところまで行きました。

カモシカまでの距離は50m位だったでしょうか。

するとカモシカは動かないで私をじっと見つめています。

私も動かないままカメラのシャッターを何回も切りました。

見つめ合っている時間は1~2分だったと思います。

なぜすぐ逃げないのか不思議です。

推測ですが、余り近すぎてカモシカの逃走距離内だったからではなかったかと思われます。

私が車の方に目を逸らせたら、すかさず動いて逃げていきました。

似たことは五条川の土手下の叢(くさむら)でタヌキを見かけた時も経験しました。

出会った距離が余りに近かったので、タヌキは動けずに逃げられなかったような感じでした。

次の出会いは春先でした。

自宅から車で7~8分の山元沼の杉林に分け入ってショウジョウバカマの写真を撮っていた時、杉林を抜けた先でカモシカを見かけました。

カモシカは冬毛でふっくらしていました。

私の存在を知ってか知らずか、ゆったりと移動しながら尾根の方に去って行きました。

カモシカはシカと言われていますが、ウシ科の仲間です。

蹄(ひづめ)が2つに分かれて自由に開閉できることと、後ろ指がブレーキの役割を果たせることから、急峻な崖も安定を保って動きまわれるのです。

カモシカは日本固有種で生息数が減少したことから、1955年に国の特別天然記念物に指定されました。

主に東日本の山岳地帯に生息していて、山形、栃木、富山、山梨、長野の各県では「県の獣」となっています。

カモシカは本来おとなしい動物ですが、町に出てくると危険動物として扱われます。

そっと山に帰れるように誘導してやれば良いのにといつも思ってしまいます。

皆さんはどう思いますか?

(ウシ科 カモシカ属 ニホンカモシカ)

カモ撮りこうちゃん