紅葉と種で存在を示しているナンキンハゼ
秋になって、街路樹や公園の木々の中に白い実をつけている木を見かけます。
何十年前の記憶にはまったくない木です。
また東北でも見かけませんでした。
白い実が印象的でセンダンの木より多く、そこかしこに植えられています。
永和の沼にも宝川の土手にもその白い実がなっていて、ヒヨドリ、ツグミ、ムクドリやキジバトが食べに来ています。
カワラヒワやモズが食べようと挑戦している姿も見かけました。
この木は、夏には卵形の葉と黄色い房状の花をたくさんつけます。
花弁がないからか、口吻(こうふん)が短いアオスジアゲハもときどき吸蜜に来ていました。
秋になると葉が黄色や赤に変わって美しく目立ちます。
葉が落ちると、この白い実が残る様子もまた風情があります。
紅葉と白い実が印象的なので、街路樹などに植えられているようです。
ナンキンハゼは寒暖差がなくても紅葉することと関係があると思われます。
白い実と書きましたが、初めの緑の実がだんだん黒くなって、その黒い皮が剥がれて白い種が出てくるのです。
実ではなく種だったのです。
見かけたときはこの木の名前は知りませんでした。
でも存在感が大きくて印象に残ったので調べてみたら、ナンキンハゼ(トウダイグサ科)と分かりました。
ハゼといえば蝋(ろう)を採るハゼノキを想い出しますが、ウルシの仲間で触ると多少かぶれることがあります。(別に書く予定)
ナンキンハゼは江戸時代に中国から、長崎を通して国内に入って来たようです。
中国ではこの木から蝋を採っていました。
ハゼノキは中国の気候に合わないので、蝋を採るためにナンキンハゼから蝋を採っていたと言われています。
秋になるとヒヨドリなどが盛んに白い種を食べていますが、実際に私が採って触ってみると硬くて、かみ砕けるような代物ではありませんでした。
鳥には砂嚢(さのう)があるので砕けるのかと思っていました。
実際は違うようなのです。
種の白い部分は蝋で、種の周りにへばりついていて、その蝋の部分を鳥たちは消化吸収できるらしいのです。
私は種を盛んに食べているヒヨドリたちを見て、栄養もないのに木の実だから食べようとしているんだろうと考えていました。
でもそうではなかったのです。
ヒヨドリたちが生きるために、無駄なものでも何でも食べようとする行動と考えていた私の方が愚かだったと痛感してしまいました。
(トウダイグサ科 シラキ属 落葉高木)
カモ撮りこうちゃん
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