秋になると帰ってくるヒヨドリ
蟹江周辺では春から秋の初めまでは、ヒヨドリをほとんど見かけません。
秋になると木々の間からピーッピーッという鳴き声が頻繁に聞こえるようになります。
そして灰色で尻尾が長い姿と、波のように飛んでいく様子も見かけるようになります。
大きさはムクドリ位です。
春から秋の間は養老山地で過ごして産卵と育雛(いくすう)していると思われます。
国内の別地域に移動して戻ってくる鳥を漂鳥(ひょうちょう)と呼んでいます。
ヒヨドリはそんな仲間です。
ヒヨドリといえば想い出されるのは、「ヒヨドリ越えの逆落とし」です。
源平合戦の一の谷の戦い(1184年)で、源義経が率いる軍勢がこの急坂の谷を、馬を担いで平家陣の背後から突くという話です。
昔ヒヨドリは山岳地帯に住んでいたようです。
それが人家近くまで降りてきて生活するようになったと言われています。
ヒヨドリを観察していると、飛ぶときは波のような飛び方をします。
羽を開いてから完全に閉じてしまうので、写真に撮るとずん銅の模型のように撮れる場面があります。
また雑木林から他の雑木林へ、大きな木から他の木へと、頻繁に行ったり来たり移動します。
1羽のときも数羽のときもあります。
250m位の距離の時もあります。
「ヒヨドリ越え」というのは、ヒヨドリが谷を越えて樹木間を行ったり来たりする習性を著した言葉ではないかと思うようになりました。
NHKのダーウィンが来た「大追跡! ヒヨドリ津軽海峡越え」では、本州から北海道に渡っていたヒヨドリの大群が、晩秋に北海道最南端の白神岬から、本州に戻って来るときの様子を放映していました。
天候が良い時に海峡を渡り出すと、海峡に住んでいる天敵のハヤブサの攻撃を受けます。
それを海面すれすれに飛んで避けます。
ハヤブサは上空から突っ込んできますが、ヒヨドリの群れが海面近くなのでスピードを緩めなければなりません。
そんなハヤブサの弱点を見据えて海峡を渡っていきます。
また3mもの荒波も難敵で、誤れば波に飲み込まれてしまいます。
本州で生きていけば良いのにと思ってしまうのですが、これもヒヨドリの漂鳥としての定めなのでしょうか。
蟹江周辺で4月7日ヒヨドリが集団で飛んでいくのを初めて見かけました。
春から夏に過ごす地域に移動途中だったのでないかと思われます。
(スズメ目 ヒヨドリ科)
カモ撮りこうちゃん