春の妖精の1つ フデリンドウ

東北の春の里山を歩くと、天気が良い日には枯れ草や崖下の叢(くさむら)にブルーの小さなリンドウを見かけます。

フデリンドウです。

この花が咲く期間は1週間ほどと短く、花が終わると枯れて翌年の春まで休眠します。

春の短い期間だけ花を咲かせる植物を、春の妖精(スプリング・エフェメラル)と呼んでいます。

この仲間の植物にはフクジュソウ、ニリンソウ、ショウジョウバカマ、エンゴサク、カタクリなどがあります。

これらの花の蜜を吸いに来るヒメギフチョウなども、私は春の妖精に含めて良いのではないかと思っています。

このリンドウはとても小さく、背丈がせいぜい5㎝ほどしかありません。

しかも咲いているとブルーが際立って美しいのです。

全国的に分布しているようですが、養老山地に行けば見られるかも知れません。

春になったら出かけてみようと考えています。

東北の山に入って誰もいない山道でフデリンドウを見かけると

とても嬉しく幸せな感じがします。

私にとっては東北の春の象徴の1つとしての存在なのです。

この花は朝早いと閉じていて存在が分かりません。

日中陽射しが当たって明るくなると花が開き、夕方になると閉じてしまいます。

往きに花を見かけたのに、帰りに見つけられないことがしばしばです。

私はフデリンドウを、ずーっとハルリンドウだと思い込んでいました。

春に咲くリンドウだからハルリンドウと考えていたのです。

ハルリンドウ以外に似た小さなリンドウがあることは知っていましたが、その区別は全くついていませんでした。

調べてみると、ハルリンドウには根生葉がありロゼット状になっています。

花茎が何本も出てそこに花を咲かせます。

フデリンドウよりは花のブルーが濃いという人もいます。

それに対して、フデリンドウには根生葉がなく、花茎が一本出てその先に花をいくつか咲かせます。

しかも花のブルーは淡い感じです。

私が歩き回っていた場所ではフデリンドウばかりでした。

皆さんの中には、こんな小さなリンドウは見たことがない人も多いのではないかと思います。

実際にその場に出会ったら、誰でも感動するはずです。

人によって作られた庭園の花と違って、偶然に出会うそのことも感動を一層高めるに違いありません。

(リンドウ科 リンドウ属)

カモ撮りこうちゃん