スズメかと思ったらニュウナイスズメだった

2月初旬に海津市南濃町の戸田にオオジュリンの写真を撮りに出かけました。

ここは川沿いの土手がヨシ原になっていて、オオジュリンが例年越冬しているのを知っていたからです。

ヨシに止まっているオオジュリンを撮っていると、少し似た小鳥の集団が木に止まっていました。

その風情はスズメの群れが止まっているようでした。

オオジュリンは小群で行動しますが、この小鳥はもっと多い集団で行動しています。

私はスズメだと思いながら写真を撮ろうとしましたが、スズメと違って茶色い感じなのです。

またオオジュリンにも似ていますが、少し雰囲気が違います。

ニュウナイスズメかも知れないと瞬間的に思いました。

名前は知っていたのです。

私たちが目にするほとんどがスズメで、頬に黒い斑点があり一年中見かけます。

ところがニュウナイスズメは斑点がない上に、夏には見かけたことがありません。

スズメのようですが、主観的には少し上品な感じがするスズメといったところでしょうか。

調べてみると、北の地方から越冬のためにこの辺りに来て、春が過ぎると帰って行くようです。

スズメは民家近くに生息しているのに、ニュウナイスズメは人里離れた森林や農耕地に住んでいることも、私たちが目にしにくい理由かもしれません。

スズメとの生態的な位置を争う生存競争に負けて、森林や農耕地で生き延びるようになったのかも知れません。

ニュウナイの意味には、

①ほくろの古名ニフがないスズメとか、

②新嘗(ニイナメ)スズメがなまったとか、

③平安時代に都から左遷された藤原実方(さねかた)が、恨みをこのスズメに託して、宮中に入って(ニュウナイ)米を食い荒らしたとか、

などの諸説もあるようです。

実方中将の墓は名取市にあるので、その前の道路を車でよく通ったものです。

名前の由来から1000年も前からニュウナイスズメは人々に知られていて、平安時代の京都では、普通に町中で生息していたと予想されます。

時代の推移と共にスズメの勢いに押されて、ニュウナイスズメがだんだん少なくなってきた可能性があります。

もしそうだとしたら、とても残念なことだと思ってしまいました。

(スズメ目 スズメ科)