ヒメギフチョウに再会できた
何十年前に、宮城県村田町の山中にあるカタクリの群生地で、初めてヒメギフチョウを見ました。
人がほとんど入らないので、光景を独り占めした満足感を覚えています。
ギフチョウだと思い込んでいて、食草のウマノスズクサ科のカンアオイを探しましたが、見つけられませんでした。
山形県東根市の乱川上流にはヒメギフチョウがいると聞かされていました。
4月末に若松観音からの帰り、スモモの花が綺麗だったので、車を降りて写真を撮り始めました。
そこにアゲハチョウより小さくアゲハチョウに似ている2匹の吸蜜中のチョウを見かけました。
それがヒメギフチョウだったのです。
夢中で写真を撮りました。
翌年の春に東根市の黒伏高原まで行った帰りに、瀬無(せなし)沢と書かれた谷川沿いの道に寄りました。
野草の花を撮ろうと思ったのです。
そこの崖はカタクリの群生地で、周りを小さいアゲハチョウのようなチョウが飛んでいました。
瞬間的にヒメギフチョウだと直感しました。
1~2時間粘って写真を撮り続けました。
ヒメギフチョウは崖のカタクリの花の吸蜜をしていたかと思うと、素早く飛んでその群生地から離れていきます。
しばらくすると戻って来るのです。
思ったより素早い飛び方です。
近くにもカタクリの群生地があるのでしょう。
飛び回る理由は、メスを求めてのことに違いありません。
観察していると、ニリンソウやエンゴサクの蜜を吸う様子は見られません。
必ずカタクリの花に止まるのです。
しかも止まった時に翅を開いています。
他のチョウは吸蜜する時に翅を閉じるのに、とても不思議です。
カタクリとヒメギフチョウは共生関係にあるようです。
他にスミレサイシンでも吸蜜するようです。
白水川のムクロ沢林道脇の土手にもカタクリの群生地があります。
そこでもヒメギフチョウが飛び回っていました。
歩き回っていると、枯れ葉の落ちている地面でヒメギフチョウがモソモソ動いているのに気がつきました。
交尾中でした。
2匹のほかにもう1匹が絡んでいましたが、私が近づくと離れて飛んでいきました。
交尾中の2匹は連結したままで、そこに留まっています。
交尾中は無防備で、とても危険なのです。
山形県はギフチョウとヒメギフチョウの境界線(ルードルフィアライン)上に位置しています。
どちらも見られる可能性があります。
日本海側の鶴岡市の丘陵でタニウツギの花の吸蜜しているヒメギフチョウを見かけましたが、これまでギフチョウは見ていません。
ギフチョウの幼虫の食草は主にカンアオイで、ウスバサイシンも多少たべているようです。
それに対してヒメギフチョウはウスバサイシンです。
宮城県や山形県では、ウスバサイシンが多く生えています。
このように植物の分布状況の違いで、両者の生存域もまた決まっているようなのです。
(チョウ目 アゲハチョウ科)
カモ撮りこうちゃん