アオスジアゲハは南方系のチョウだけど

名古屋周辺ではアオスジアゲハが見られます。

この地方の人にとっては馴染み深いチョウです。

素早く飛びながら移動するので、写真を撮るのは至難の業です。

ところがこのチョウ、山形県天童市に住んでいた頃は一向に見かけませんでした。

というのもアオスジアゲハは南方系のチョウだからです。

このチョウはクスノキの葉に卵を産みます。

クスノキは照葉樹林帯(葉がてかてか反射する)に属する地域で生える木で、名古屋周辺ではいたるところに生えています。

西日本からせいぜい東京位までしか生えていません。

だからアオスジアゲハも東京まで位しか生存していないのです。

またチョウの口吻が短いので、蜜が花びらの奥にあるアサガオやユリの蜜などを吸うことができません。

ですから、ヤブガラシ、ノブドウやシロツメクサなどの花びらがないか、花があっても蜜までが短い花の蜜を吸っています。

夏に樹上を覆うヤブガラシにアオスジアゲハが来ていた幼い頃の記憶は、そんな理由からだったのです。

ある本を読んでいたら、山形県の酒田や飛島にもアオスジアゲハがいると記されていました。

そんな筈はないと思っていましたが、クスノキ科のタブノキが東北地方の太平洋岸や日本海岸に生えているのです。

クスノキ科のタブノキの葉にアオスジアゲハが産卵して子孫を増やしているのです。

タブノキの分布に従って北上していました。

そのことを知って随分と驚いたのです。

参考文献 虫語の翻訳ことはじめ 五十嵐啓司 小松写真印刷

カモ撮りこうちゃん