越冬するチョウは体力をどう保持するのか
質 問 k・hさんより
越冬できるチョウの体力は、どのようにして保持できるのでしょうか。
回 答
私も気にかかっていた問題の1つです。
良いところに気がつかれました。
どうも有り難うございます。
私なりに考えてみたのが次の通りです。
私が住んでいる蟹江周辺で今のところ見かけている成虫(チョウ)で越冬する種類は4種類です。
キタキチョウ、キタテハ、ムラサキシジミ、ウラギンシジミです。
数からいうとキタキチョウを一番多く見かけます。
昔から気になっていたのは1匹のチョウの生存期間はどれくらいかということでした。
「日本のチョウ」(日本チョウ類保全協会編 誠文堂新光社)を見ると、これらのチョウは春から秋までは大体1か月程度の生存期間です。
ですが、秋の終わりから翌年春までの生存期間は大体2倍になっています。
同じチョウなのに、世代の違いがあるかも知れませんが2倍になるのは、生存方法が違うからではないかと思われます。
私の予想では寒さを凌ぐために代謝を抑えて仮死 (休眠)状態になることでエネルギー消費を避けているのではないかということです。
チョウは変温動物なので、気温が下がると行動できなくなります。
そこで冬の寒い時期はじっと葉の裏や枯葉の下で休眠状態で過ごすのです。
代謝を低くすることで春から秋までに比べて、寿命を長くできるのはそんな理由からではないかと考えています。
冬期に雑木林の南側など風がなく好天の日にはキタキチョウをよく見かけます。
気温が上がって体温も上がるからでしょう。
因みに4月初旬にはキタテハばかりでなくヒメギフチョウも頻繁に翅を広げて体を温めています。
冬期はずーっと冬眠状態を保ったまま動かないのではなく、気温が低いので動きたくても動けないのではないかと思われます。
ほとんどの越冬するチョウは、葉の裏や枯葉の下で過ごすと述べました。
その理由は放射冷却など直接寒気を体に当てないためではないかと思われます。
葉の裏や枯葉の下が温かいからというだけでなく、直接の寒冷気の被害を避けるのが主な理由ではないかと思っています。
k・hさんお尋ねの越冬中のチョウの体力をどう維持するかですが、1月~2月にも雑木林や畦の南側にはホトケノザ、オオイヌノフグリ、タネツケバナなど大量ではないのですが咲いています。
また昨年秋のコセンダングサも一部咲いています。
冬期の好天の気温が高い時には、吸蜜することが可能でしょう。
私たちは観念的に冬には植物全てが枯れると思い込んでいますが、実際には植物たちもしたたかに生きていることが観察していると分かります。
このように体力を保持するために代謝を抑えてエネルギーの放出を少なくし、冬期の好天の気温が高い日に、咲いている植物の花の吸蜜をしながら、春が来るまで何とか生き延びているのではないかと思っています。
カモ撮りこうちゃんより