フタリシズカにも出会った
東北の山で出会いたい植物には色々ありましたが、中でもヒトリシズカは会いたいものの1つに入っていました。
ところが何年も歩き回っても一向に会えずに、幻の植物の感じになっていました。
同じセンリョウ科のフタリシズカはときどき見かけました。
初めて見たとき、それがヒトリシズカだと思い込んでしまいました。
葉の上に数本の白い花茎を伸ばして、小さい花がついています。
花茎を出す葉っぱは輪生のようで、何か台座の雰囲気でした。
フタリシズカを印象的に覚えている場所は、東根市の水晶山です。
6月に六角堂の駐車場に車を停めて、杉林の山道を登っていくと、杉林の下に群生している白い花茎をつけた植物を見かけました。
一瞬フタリシズカだと分かりました。
フタリシズカだとしたら花茎は2本のはずだと思っていたのですが、中には3本あるものもあって、数が決まってはいないようでした。(ヒトリシズカについては別に記しました)
その後色々なところで見かけるようになりました。
東根市の仙台に抜ける国道48号線から右に入る沼沢地区の神社の空地に車を停めたところ、そこの杉林の下にフタリシズカが咲いていました。
どうも日陰の所に生えているようです。
「日本の野草」(林弥栄 山と渓谷社)では「山野の林下に生える多年草。茎の高さは30~60㌢になる。上部に対生する葉を相接してつけ、やや輪生状に見える。~中略~ 茎の先に数個の穂状花序をだし、小さな白い花を点々とつける。花弁はなく3個の雄しべがまるく子房を抱く。和名は静御前とその亡霊の舞姿にたとえたものという。」と記されています。
ヒトリシズカの命名は吉野で捕らえられ、鎌倉の鶴岡八幡宮で、義経を慕う歌を歌いながら1人で舞ったことからつけられました。
フタリシズカはその亡くなった静御前の亡霊と、それに憑かれた女の2人の関わりからつけられたようです。
「しずやしず しずのおだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな」と2人の舞う姿が、妖しい世界を感じさせます。
こうした物語を取り入れて、この2つの植物に名前をつけた人の見識や風情のある様子には感心してしまいます。
(センリョウ科 センリョウ属)
カモ撮りこうちゃん