セイタカシギについてのフェイスブックのやり取り その2
餌を捕るセイタカシギ
飛び立つセイタカシギ
昨日のblogの最後に「留鳥か旅鳥で国内で繁殖して一年中見られるのでしょうか?コメントいただけたら嬉しいです。」と投稿しました。
すると「セイタカシギが国内で初めて繁殖したのは、飛島の近くの鍋田です。その後県内各地や東京湾で繁殖して現在に至っています。沖縄などで見られるものは大陸で繁殖する冬鳥ですが、このあたりから東で見られるものは留鳥とみてよいでしょう。私のフィールドで繁殖するものは繁殖が終わると伊勢・三河湾の周辺に散って冬を過ごし、春になると戻って来て繁殖します。冬季の営巣地にはオオタカが居着いてカモやカイツブリなどを捕食していますので、このオオタカが山へ戻って繁殖するようになるまで、営巣地の近くで群れてはいますが、営巣地には入りません。セイタカシギの天敵はこのオオタカとチュウヒ、そしてカラス類です。」「私のフィールドでは、親鳥の数で多い時には50羽程見られます。巣は水辺の地上に草を積んでつくりますので、大雨が降ると水没してしまいます。営巣の成功率はかなり低く、今年巣立ったヒナは10羽前後ではないかと思っています。ここの水位管理をしているのも私の仲間ですが、今年のように早い時期から台風が来ると、夜も寝ないでポンプの管理をしても、成果を得ることは困難だったようです。」とコメントしてくれました。
そこで私が「Tさんのフィールドではセイタカシギが繁殖しているのですね。かなり細かく詳しい観察をされている様子が分かりました。ここ十年ほど気候の変動が激しく、水害も多発しています。そんなことが水辺で生きるセイタカシギの生存を脅かしているとのこと、そして天敵のタカ類やカラスの脅威など、セイタカシギが野生で生きることの大変さを思わされました。絶滅危惧種になるのも納得できました。因みに愛知県弥富野鳥園のシンボルマークはセイタカシギだと思います。いろいろ教えていただき、本当に有難うございました」と応えました。
すると「天敵は前述の鳥類の他にヘビやイタチもいます。そして最大の天敵は人間で、毎年ヒナが孵化するゴールデンウイークの頃になると大勢の野鳥カメラマンが集合します。親鳥は孵化したばかりのヒナをヘビやイタチから護っているのですが、カメラマンが付近をウロウロすることで、そちらに気を取られている間にヒナをヘビやイタチやカラス類に捕食されてしまいます。セイタカシギにとっては自分も警戒の対象になっていることに、全く気付いていません。私は県の鳥獣保護管理員でもありますので、こうしたカメラマンに注意をするのですが、こうしたカメラマンには口うるさく意地の悪い地元民とされているようで悔しいです。鳥の行動をよく観察して、その鳥が何を考えているのかが分からない者には、写真を撮ったり観察したりする資格は無いと思います。」と記されていました。
セイタカシギの綺麗な写真を撮りたいために集まるようですが、「切断線」という概念を思い浮かべてしまいました。
写真家がいることで動物の行動や反応が変化することを含めて考慮できるか否かということです。
昔シマフクロウを撮っていた動物写真家が、池の傍にテントを張って籠って写真を撮ろうとしていました。
テントを張ってすぐのシマフクロウの写真は撮りませんでした。
テントがその自然の一部として溶け込む期間(1週間くらい?)が過ぎてから、シマフクロウの写真を撮ると話していたのです。
人がいると分かると本来のシマフクロウの行動は見られないからです。
近年とみに私たち人間が利己的な考えや行動をする傾向が強くなってきたことと関係があるように思いました。
Tさんの指摘は私たちの生き方に厳しく問いかけているように感じてしまいました。
(チドリ目 セイタカシギ科)
カモ撮りこうちゃん