オオシマザクラは多品種のサトザクラの元になっているサクラらしい

戸田川緑地で見かけたオオシマザクラ

弥富野鳥園で見かけたオオシマザクラ

数年前からサクラに関心を持つようになってきていますが、余りに沢山の種類があって、どれがどれだか皆目分からない状況が続いていました。

ですが、日本に自生するサクラは大陸起源が9種で、他に台湾に自生するカンヒザクラが石垣島や宮古島などで見られるので、それを含めて10種が野生種だと言われています。

その中のオオシマザクラが、新しい品種ができる上での役割が大きいようなのです。

「木を知る・木に学ぶ」(石井誠治 ヤマケイ新書)には「オオシマザクラは、本州、四国、九州に分布するヤマザクラが、伊豆諸島で島の生活環境に適応するために進化した形態をしています。まず、樹形は海からの強い風に適応して、こんもりとした傘形になります。強い風に枝が折れないように先端が太くなります。葉は潮風の影響を低減するようにクチクラ層を発達させ、毛を少なくしています。島という狭い環境で送粉者を効率よく誘うために、花から香りを出します。島では海岸近くの平地は風の強さや海水の影響を受けやすいため、樹木が育ちにくい空間になります。その空間を生育のよさで活用したのがオオシマザクラです。」と記されています。

「野生種のオオシマザクラにはもう一つの特徴があります。葉にクマリンを作る酵素があり、塩漬けにするとクマリンの香りがしてきます。クマリンの香りは桜餅の香りです。他の種類のサクラの葉には酵素がないため、塩漬けしても香りはしません。他の野生種との交雑品種では葉から香りはしませんが、オオシマザクラどうしでの受粉なら葉の香りは維持します。島という特殊な環境を生き延びるために獲得したさまざまな変化は、変わりやすいというオオシマザクラが持つ性質のたまものです。その結果、オオシマザクラ系のサクラから八重咲きの品種が出現し、香りの強い品種など変異があるサクラが誕生しています。これらのオオシマザクラに備わった特徴が、日本のサクラを世界に広めるために役立った変異の多様性の源なのです。現在、八重咲きの園芸品種で有名なサクラは、大半がオオシマザクラ系のサクラです。フゲンゾウ、カンザン、イチヨウ、ウコン、ギョイコウなどのヤエザクラの名前を聞いたことがあるでしょう。なかでもピンクが濃いカンザンは世界中で人気が高いサクラです。カンザンの花が咲いたばかりのころ摘んで、梅酢につけて色を留め、塩漬けにした花びらをお湯で戻せば桜湯になります。」とも記されています。

名古屋市の戸田川緑地には、オオシマザクラを介して作られた沢山のサトザクラの品種が植えられています。

文中のサクラも入っています。

今その標識とその花の写真を撮りためています。

園内で偶然オオシマザクラの標識も見かけました。

また弥富野鳥園内でも見かけました。

少しずつでも、勘違いや間違いを正しながら、オオシマザクラをまずは同定できるようにしたいと考えているところです。

(バラ科 サクラ属)

カモ撮りこうちゃん