やっぱりシシウドは東北ではありきたりの花だった!

シシウドの花(セリ科)

シシウドの茎と葉

今年(2024年5月)に天童に出かけました。

これまで新コロナ禍で出かけることが出来なかったので、何年かぶりの訪問でした。

天童在住の時は、天童から山形市の奥羽山脈の西麓を歩き回っていたので、そこで見かけた動植物は、今でも懐かしく感じられるものばかりです。

名古屋近辺では、山や雑木林に入っても、誰かに出会うことが普通です。

ところが東北では奥羽山脈の麓の林道などを1時間くらい歩いても、人に出くわすことがないことが度々です。

もし出会うとしたら、クマかカモシカかサルくらいです。

東北では自然の中に、人が入らせてもらう感覚があります。

山寺(立石寺)も自然の中に入らせて貰っている寺という感覚があります。

京都や鎌倉の寺などを見にいくと、人間が自然を人間本位に作りかえた美を感じます。

人間社会の中に、自然を取り込んで調和させている感じです。

どちらにもそれぞれの良さや美しさはありますが、京都や鎌倉の寺社の美しさは、美しいとは感じるものの、しっくりと心に響かないことが多いのです。

それに較べると、立石寺などは自然に調和する寺という感じがします。

これは好みの違いかも知れませんが。

今年も原崎沼の端の駐車場前の叢で、シシウドを見かけました。

以前に来た時にもここでシシウドを見かけています。

シシウドは多年草ではないかと思われます。

2023.6.21付けの「シシウドかと思ったけど違うセリ科の植物らしい」で、以前は長良川の土手にはシシウドが生えていたらしいという話を書きました。

気候の温暖化や人間による自然環境の改変で、西尾張付近では消滅したのではないかと思われます。

こうした植物はミズヒキも同じです。

ところが東北では、少し雑木林の林縁部分でシシウドが咲いているところがいたるところで見られます。

まだ自然がそのまま残っているからだと思われます。

日本薬学会「生薬の花」のシシウドでは「本州、九州、四国に自生する多年草草本で、夏の暑い時期に山地で、日当たりのいい斜面にひときわ高く白い傘状の花をつけるためよく目立ちます。真っすぐ立った茎は2m近くなりますが中は空洞です。葉は3回羽状複葉で、複数散形花序とともにセリ科らしい特徴を持っています。太い根には精油成分であるアンゲリコンやウンベリフェロンなどのクマリン誘導体が多く含まれていて、セロリのようなセリ科独特の香りがあります。」と記されています。

また野草などの多くが救荒植物として利用されるのに、このシシウドはそうした利用はされておらず、しかも春の山菜としての対象にもなっていないようです。

私にとって春の東北で見かける植物のイメージとして、このシシウドの存在が大きいことは間違いないのです。

(セリ科 シシウド属)

カモ撮りこうちゃん