中国から飛んで来たと言われるシンジュキノカワガの幼虫を見かけた!
シンジュキノカワガの幼虫
食樹のニワウルシ(シンジュ)
数日前に海津市南濃町早瀬に、今年もニュウナイスズメが来ていないか確かめるために出かけました。
残念ながらまだ来ている様子はありませんでした。
そこで車を駐車した場所から沿う農道を南に歩きながら、叢を見ていくとそこにハゼノキと思われる木が生えていました。
そこを通り過ぎようとしたら、その葉の裏に黄色っぽいケムシが沢山取りついているのを見かけました。
その葉を食んでいるものも見かけました。
ハゼノキにとりつくガの幼虫はどんなものかと、スマホでその場で検索したのですが分かりません。
そこでガの幼虫の映像が沢山載っているものを見ていくとシンジュキノカワガと載っていました。
自宅に帰ってから「シンジュキノカワガ」を検索してみると、論文がいくつか載っていました。
「シンジュキノカワガ 伊豆で大発生」(文杉本武 写真三宅飛鳥)には「シンジュキノカワガは大形で美しいコブガ科の蛾である。もともと日本の蛾ではなく、中国大陸の原産とされる。日本では北海道から九州までの各地で記録されているが、非常に稀な種類である。ごく限られた場所に発生するが、その後は採集されない場合が多い。幼虫の食樹はニガキ科のニワウルシ(別名シンジュ:神樹)に限られている。ニワウルシは、中国原産の落葉高木で、明治以降にヤママユガ科のシンジュサンの亜種エリサンから絹糸をとるために、その食樹として日本に導入されたようである。日本における、シンジュキノカワガの記録を見ると、1~数頭の成虫が発見される場合と、ニワウルシの木に幼虫が大発生をして発見される場合とがある。大発生した場合、その後その場所でつづけて発生することはぼく稀であり、日本に安定的に定着するとは考えにくい。現在では、この蛾は中国大陸から、気流に乗って日本に飛来し、ニワウルシがあればそこで産卵して一時的に増殖するが、日本には定着できない偶産種であると考えられている。」と記されています。
私が羽状複葉なのでハゼノキだと思っていたのですが、同じ羽状複葉のニワウルシだったようです。
このニワウルシは一か月前に、桑名市の木曽川西岸の雑木林で偶然見かけていました。
色々な経験がこのシンジュキノカワガを通して繋がってきました。
「伊丹市昆陽池町で発生したシンジュキノカワガ」(安達誠文)では「本種は自然現象で日本にやってきて、本来ならそこで死んでしまうはずの蛾だが、飛来地に食樹であるシンジュ(ニワウルシ)があることで2~3世代発生する。しかし、日本の冬の寒さに耐えられないので晩秋には全滅する。一度発生した場所で、その次の年に忽然と姿を消すという現象は、本種が日本の冬の寒さに耐えられなかったためである。」と記されています。
私が見かけた幼虫たちは、成虫か蛹になる前に死滅するのだろうなと思ってしまいました。
(ヤガ科 キノカワガ亜科)
カモ撮りこうちゃん