イヌノフグリそのものは牧野富太郎の命名ではないらしい

オオイヌノフグリ

帰化植物のタチイヌノフグリ

見つけた白い花のオオイヌノフグリ

オオイヌノフグリは、越年草なので秋から冬にかけて畔の南斜面などで見かける植物です。

早春になると他の越年草の仲間ホトケノザ、タネツケバナやハハコグサなどに較べても一番早く目につくようになります。

そのコバルトブルーの花が一面に咲いている様子は誰でも美しいと思うに違いありません。

天童周辺のサクランボの畑の下草が秋に刈られた後に、春になって木の下一面にオオイヌノフグリで咲いている光景が忘れられません。

その咲いている花に触ると、ぽろっと取れてしまう印象なのです。

オオイヌノフグリは花弁が四裂していて帰化植物です。

「日本の野草」(林弥栄編 山と溪谷社)には「ヨーロッパ原産で明治初期に渡来し、今では全国的な雑草となっている越年草。茎は根もとで枝分かれして横に広がり、なかなか大きな株となる。葉は卵円形で一~五センチの柄があり、ふちには鈍い鋸歯がある。茎の下部では対生し、上部では互生する。葉のわきに一個ずつ花をつける。花柄は一~二センチあり、花冠はルリ色で七~十ミリあり、なかなか美しい。花期は三~五月。生育地は畑、道ばた。分布は帰化植物。」と示されています。

オオイヌノフグリは帰化植物で江戸時代の道ばたには生えていなかったのです。

帰化してからイヌノフグリよりは大型で花が大きいことから、オオイヌノフグリとつけられたのです。

オオイヌノフグリは、「オオイヌノキンタマ」という意味で、植物の中でも生々しいネーミングだとつくづく思ってしまいます。

歩きまわっていますが、日本在来種のイヌノフグリは殆ど見かけません。

でも何回かオオイヌノフグリにしては花の色が赤っぽい感じのするフグリを見かけました。

多分それがイヌノフグリではないかと推測しています。

オオイヌノフグリと名づけたのは牧野富太郎といわれているらしいのですが、「ヘンな名前の植物」(藤井義晴 化学同人)では「このフグリという名前を牧野富太郎が命名したと書いてある図鑑があり、ネットや一部の書籍で情報が広がっているようです。しかしこの情報は間違いで、日本在来種のイヌノフグリの名前が先につけられていました。その果実の形が雄犬の陰嚢に似ていることから名づけられ、江戸時代後期の一八五六~六二年に出版された『草木図説 前編巻一』の中に『イヌノフグリ』の名が出ています。そのため最初に『イヌノフグリ』と命名したのは牧野さんではありません。」と記されています。

イヌノフグリを元に牧野が「オオイヌノフグリ」と名づけたのでしょう。その点では正しいのですが、フグリと名づけたのは先人だったのですね。

実の形からフグリと名づけた人のセンスの良さを感じてしまいました。

本当かなー。

(オオバコ科 クワガタソウ属)

カモ撮りこうちゃん