ショウジョウトンボやコフキトンボの警護産卵の不思議
ショウジョウトンボの警護産卵
ショウジョウトンボの連結態
ショウジョウトンボのメスの産卵行動
メスを巡るオスのせめぎ合い
コフキトンボの警護産卵
トンボの子孫を残す産卵方法には、オスとメスが連結して産卵する仲間と、メスが単独で産卵し、オスが上空で見守る警護産卵する仲間がいます。
連結して産卵する仲間には、ギンヤンマ、ベニイトトンボ、キイトトンボ、ムスジイトトンボなどがいます。
それらのトンボは水草や浮遊物に埋め込み産卵するものが多いようです。
でもアキアカネやコノシメトンボなどは連結しながら、打水産卵します。
それに対して警護産卵するものには、ショウジョウトンボ、コフキトンボ、シオカラトンボ、ウチワヤンマ、ハラビロトンボなどがいます。
その多くは交尾してからメスが産卵しますが、その際オスが産卵の様子を見守りながら、メスを奪いに来る他のオスを排除するための警護をします。
飛島村の金魚養殖池跡地で見かけるショウジョウトンボやコフキトンボでは、警護産卵は、オスの遺伝子をメスにきちんと産卵させるように、他のオスに奪われないようにするためだと考えていました。
オスの自分の子孫を繋がせる本能行動だと考えていたのです。
ところがショウジョウトンボやコフキトンボでメスが産卵していると、警護しているオスにかまわず、他のオスが侵入してきて産卵しているメスを捕まえて交尾態になることが頻繁に起こります。
その際、メスは新たなオスとの交尾態になることを拒否しないのです。
というのはオスの副性器にメスの尾端を据えるからです。
そうした性(さが)なのかどうか分かりません。
それを何度も繰り返すので、連結態になったメスは疲れ果てる様子が見て取れます。
メスにとって、交尾態になって産卵するのは大変な作業なのです。
色々な動物を観察していて「自然は種が残れば良いのであって、その個体の生死にはこだわっていない」と思うようになりました。
ヘラブナも春の大雨のとき、田んぼに侵入してきて産卵しますが、その後田んぼが干上がって、全てが死に至ることが頻繁に起こります。
それでも用水路などで産卵した稚魚が生き残れば、ヘラブナの種は継続していくのです。
自然は、このように個体を犠牲にしても種が残れば良いという戦略を採っているように思われます。
これまでショウジョウトンボやコフキトンボの警護産卵については、オスの立場からしか考えていなかったのです。
最初のオスの精子がかかった受精卵を産卵している途中で、他のオスと交尾態になって別の精子を受け取ることになっても、ショウジョウトンボのメスからしたら種を残すことになって、自然の目的には合っていることになります。
警護産卵している途中でオスが他のオスを追い払っている間に、メスは産卵を中止して飛んでいってしまうことが頻繁にあります。
オスが戻ってくるとメスはいないのです。
最近はオスの警護産卵は、メスが逃げないように産卵させるために見張っているのではないかと思うようになりました。
本当かなー。
(トンボ科 ショウジョウトンボ属)(トンボ科 Deielia属 コフキトンボ属)
カモ撮りこうちゃん