ショウジョウトンボの交尾時間の短さで考えたこと

ショウジョウトンボの連結態と交尾態

オス同士のせめぎ合い

メスの産卵行動

ショウジョウトンボの深紅の体色は、とても印象です。

昔はなかなか捕れなかったトンボでした。

またその数も多くはありませんでした。

蟹江に戻ってから、愛西市福原輪中の長良川脇の人工湿地でショウジョウトンボが棲息しているのを確認しました。

観察しているとオスの縄張り争いはなかなか激しいものです。

コシアキトンボもチョウトンボも激しいせめぎ合いをするので、ショウジョウトンボだけが激しいという訳ではありませんが、子孫を残す営みは凄いなぁと思ってしまいます。

そこにメスのショウジョウトンボがやって来ると、縄張りのオスが一瞬で交尾態になります。

1~2秒でその交尾態が分かれ、すぐにメスは水面上で打水産卵を始めます。

その交尾時間の短さに驚いてしまいました。

というのはギンヤンマ、シオカラトンボやアキアカネにしても、植物の茎などにとまって交尾態でかなりの時間じっとしています。

シオカラトンボに至っては15分位じっとしています。

副性器からメスに精子を送る必要があるからです。

ショウジョウトンボときたら、一瞬で交尾態になって数秒で離れて、すぐにメスは産卵し始まるのです。

ショウジョウトンボのオスは上空で離れたところで警護します。

その後飛島村服岡の金魚養殖池跡付近にも、ショウジョウトンボが棲息していることを知りました。

ある用水路付近では、羽化して間もないショウジョウトンボが沢山とまっています。

羽化したばかりの時はオスもメスもみな黄色いのです。

そして同じ場所で過ごしています。

そこから少し離れた何面もある養殖池跡地には、成熟したショウジョウトンボのオスが縄張りを作っています。

他のオスが来るとそれを追い払います。

そんなせめぎ合いが頻繁に見られます。

メスが来るとオスはすぐさま交尾態になってから数秒で離れ、メスは水面上を打水産卵しています。

オスは上空で警護しています。

この養殖池跡では同じ池の中にたくさんのオスが縄張りを作っていています。

そのためメスは産卵途中に他のオスに捕まえられて、また交尾態になります。

とにかくメスの産卵は落ち着かなく、途中で中断されることがほとんどです。

そうしたことが続くと、メスは池から離れて、道路に降り立ってじっとしているようになります。

疲れてしまうようです。

他のオスの邪魔が入らなければ、もう少し長い時間を交尾態のままいるのかも知れません。

それか瞬時の交尾時間でも大量の受精卵ができるほどの精子の量をメスに送ることができるのでしょうか。

見かけるショウジョウトンボの交尾時間の短さは、こうした他のオスからの妨害も影響しているのかも知れないし、そうでなければ、精子を瞬時に大量にメスに送り込むことができる仕組みがあるのではないかと思っています。

とても不思議です。

(トンボ科 ショウジョウトンボ属) 

カモ撮りこうちゃん