迷鳥は元の群れや繁殖地に戻れるのかな?
ナベヅル
マガン
トモエガモ
ツクシガモ
アメリカヒドリ
蟹江周辺を歩き回っていると、毎年季節ごとに見かける野鳥たちはほぼ決まっています。
年毎によってその数の増減はありますが、見かける種類は余り変わりがありません。
「日本の野鳥」(叶内拓哉 安部直哉他 山と溪谷社)には、鳥たちの生息地からの移動に関して「留鳥」、「漂鳥」、「夏鳥」、「冬鳥」、「旅鳥」、「迷鳥」などと分類しています。
私はなかなかそれらの明確な区別はまだできていません。
「漂鳥」は「国内を季節移動する鳥(種)。北海道で繁殖し、本州以南で越冬するものや、高地繁殖し、低地で越冬するものなどで、日本の留鳥の多くはこれに当たる。」と記されています。
オオタカ、チョウゲンボウ、ノスリ、ヒヨドリなどもこれらに入るかも知れません。
「旅鳥」は「渡りの途中に日本に立ち寄る鳥で、一般には日本より北の繁殖地と日本より南の越冬地を往復する鳥(種)。ハシボソミズナギドリのように、繁殖地が日本より南にある鳥(種)も含まれる。」と記されています。
春に見かけているチュウシャクシギやタカブシギなどの仲間が入ると思われます。
「迷鳥」は「正常な生息地域でない地域に迷行した鳥(種)のこと。」と記されています。
これらの分類で、私が蟹江周辺で迷鳥と思われる鳥たちには、トモエガモ、マガン、ナベヅル、アメリカヒドリ、アトリ、ツクシガモ、タマシギなどがあります。
マガンを除いて一回しか見かけていません。
一番驚いたのは何といってもナベヅルです。
12月に鍋蓋新田の田んぼで2羽が餌採りしていました。
数日間見かけていましたが、その後見かけなくなりました。
朝鮮半島や沿海州から鹿児島県出水地方や山口県周南市に定期的に毎冬やって来るようです。
そこから500~800キロ以上離れている蟹江周辺に飛来してきたのです。
その2羽のナベヅルは出水地方や周南市の群れと合流できるのかとても心配になってしまいました。
繁殖地の緯度は太陽高度で知ることはできますが、経度はその知る術が明確でない筈です。
人間は今ではGPSで緯度・経度の位置を明確に知ることはできますが、それが利用できない時代には、海で遭難したときに故郷に帰ることは殆ど不可能だったと思われるのです。
海を移動する人たちは島伝いにそして星の様子を学びながら何もない海を渡ってきたと思われます。
ナベヅルも群れや繁殖地まで帰れるかどうか疑問です。
というのは蟹江周辺の冬鳥のカモたちを見ていると、海を越えて川伝いに日本海から木曽川下流まで来ているようなのです。
太陽高度と具体的な地理の知識を何代かに渡って学習しながら、越冬に来ていると思われるのです。
繁殖地の太陽高度までの緯度に至るように飛翔することはできるかも知れませんが、経度が分からないので、本来の渡りと平行移動するような飛翔をするのではないかと思ってしまいました。
長く身近な動植物を観察していると、自然は種の維持されることが使命で、種内の個体の命については無頓着のように感じています。
そう考えると、迷鳥の行く末は余り期待できないだろうなぁと考えてしまいました。
カモ撮りこうちゃん