ギンヤンマの交尾態で考えたこと
交尾態
交尾態で飛翔
連結態で産卵中
オスが縄張りを飛翔中
子どもの頃からギンヤンマは親しんできたヤンマです。
オスは田んぼの一角や川の橋と橋の間を縄張りにして飛翔しています。
また浅瀬の田んぼや金魚養殖池の放棄された池では、水草や浮草の上でオスとメスの連結態が産卵しています。
そんな風景が当たり前で、その中でギンヤンマ釣りなどをしながら少年時代を過ごしました。
ところが連結態になる前には、オスの副性器からメスの尾端に精子を送り込まなければなりません。
そのためには丸く輪になる交尾態になるはずです。
長い間ギンヤンマに親しんできたものの、交尾態を子どもの頃見た記憶がありません。
多分出会っているに違いがないのですが、記憶が全くないのです。
見れども見えずだったのでしょう。
蟹江に戻ってからギンヤンマの交尾態を見かけるようになりました。
交尾態で飛翔している場合もありますが、しばらくすると草の葉や茎にとまります。
そこで動かずにじっとしています。
シオカラトンボでは交尾態で飛翔しているケースをたびたび見かけますが、これもしばらくすると、葉や地面にとまってじっとしています。
不思議に思うのは、オスがメスを掴まえるとすぐに交尾態になりますが、メスの尾端がオスの副性器にしっかりと置かれていることです。
副性器の位置は腹の下の真ん中より後ろです。
よくそこにきちんとメスの尾端が置けるなぁと驚きます。
メスの尾端が副性器に来ると、つなぎとめる仕組みがあるのではないかと予想しています。
ギンヤンマのこうした交尾態になる行動は、学習によるものではなさそうです。
というのは羽化して初めて交尾態になるオスとメスの場合がほとんどだからです。
メスがオスの副性器に尾端を持っていくのをなぜ知っているのか、とても不思議です。
こうした行動は遺伝的な生得的なプログラム(本能的行動)によるものなのでしょうか。
遺伝については、人間でも顔つきや体つきなど見えるものでは親子などが似ていることは体験していますが、ふるまいなどの行動も同様なのか、まだ納得できていません。
数年前に永和の沼でシオカラトンボのオスがメスを掴みました。
そしてメスが交尾態になるかと思いきや、ならずに連結態のまま飛翔していました。
するとオスはメスを一度離してからまた連結態になりましたが、やはり交尾態にはなれませんでした。
すると、オスのシオカラトンボはメスを離して、飛んで行ってしまったのです。
メスが交尾態になる行動がとれなかったのです。
交尾から産卵までに至るオスとメスの行動系列の連鎖が繋がらなくなったからです。
こんなこともごく稀にあることに驚いてしまいました。
(ヤンマ科 ギンヤンマ)
カモ撮りこうちゃん