ショウジョウトンボとコフキトンボのとまり場所のせめぎ合い
とまる場所をめぐるせめぎ合い
ショウジョウトンボとコフキトンボ
とまる余裕があり呉越同舟している
飛島村服岡の放置された金魚養殖池には、ショウジョウトンボ、コフキトンボ、ギンヤンマ、シオカラトンボなどが生息しています。
池の周りにはネットがあって、そこにヤゴの抜け殻がいくつもくっついています。
これらのトンボはこの池で羽化したものでしょう。
どのトンボも水辺に来て交尾して産卵しますが、シオカラトンボに比べてコフキトンボとショウジョウトンボは未成熟の時から水辺近くで生活する傾向が強いようです。
成熟するとどの種のオスも縄張りを作って、メスがやって来るのを待っています。
いつ来るか分からないメスを待ち続ける忍耐力にはいつも感心するばかりです。
池には抽水植物やイネが偶然生えていて、水面から出ているそれらの枯れ枝に、ショウジョウトンボやコフキトンボがとまります。
同種のトンボとの縄張り間隔を保ってとまるようなのです。
先日ショウジョウトンボとコフキトンボのとまる場所が同じになってしまった場面を見かけました。
その場所を巡って、両者のせめぎ合いが起こりました。
ショウジョウトンボがとまっているとき、コフキトンボがそばまで飛んできて様子を窺っています。
ショウジョウトンボが他のオスを追いかけようと飛び立つと、コフキトンボがとまります。
ショウジョウトンボが戻ってくるとコフキトンボがとまっているので、それを威嚇して追い払おうとします。
そんなことが繰り返されていました。
不思議なのはどのトンボもとまっていた場所に戻ってくることです。
それでもギンヤンマなどの大きなトンボの連結態が産卵のためにとまると、そこから離れて別の場所に移動していきます。
今度は別の場所がとまる場所になります。
とまる場所が縄張り空間の中心だとすると、縄張り空間は柔軟に変わりうるものだと考えられます。
同種のオスとの縄張り空間が決まってからとまる場所が決まるのではなく、とまる場所が決まると縄張り空間が発生するのではないかと予想されます。
トンボの動きに合わせて縄張り空間が決まるようです。
人間のパーソナルスペースと同じですね。
ショウジョウトンボとコフキトンボのとまる場所のせめぎ合いを見ると、とまる場所へのこだわりはかなり強いと思われます。
それは見張りやすいとか、とまりやすいとかを含めて縄張り空間を守り易い場所ということも意味しているのでしょう。
ショウジョウトンボの方がコフキトンボより体長が大きいので、コフキトンボは押され気味ですが。
同種内のオスの縄張り争いの他に、他種間のとまる場所のせめぎ合いが、現実の生息場所では起こっているのですね。
生きていくというのは、どの動物も大変なことだと痛感してしまいました。
(トンボ科 ショウジョウトンボ属)(トンボ科 Deielia属 コフキトンボ)
カモ撮りこうちゃん