サンゴジュは少年時代の自分と繋がっている

サンゴジュは私にとって想い出深い木です。スイカズラ科ガマズミ属で、小さい頃住んでいた社宅近くに植えられていたのです。

実も小さいブドウのような実で、今から考えるとガマズミの実と似て赤橙色の房状の実をつけていました。

小学校入学頃から住んでいたのは名古屋市西区の二軒長屋が何棟も立っている社宅でした。

当時は周りにまだ畑があり、ちょっと遠征すると田んぼがあるという町と田舎の境だったところです。

その社宅と道路を挟んで商業高校があり、その境は土手になっていてサンゴジュが何十本も土手に沿って植えられていました。

それも密生して植えられていて、土手の幅は1メートルくらいあったので、道路から構内の様子は見えませんでした。

この商業高校はラグビーが盛んで、当時は花園ラグビー場に何度も出場している強豪校でした。

指導教員はラグビー経験者でないのに、ラグビー部を育てたと聞いていました。

子どもの頃はそのラグビーの練習風景ばかりでなく、私たち自身も2本立っているポールで遊んだ記憶さえあります。

その商業高校の構内は私たちの遊び場そのものでした。

そこでセミ捕りや三角ベースの野球をやったりしました。

昔のことで時効だと思いますが、徒党を組んで教室内の高校生が忘れていった文房具を持ち帰ったり、運動部の部室の中に穴から入ったりしました。

また古い講堂の窓ガラスを、石を投げて順番に割ったこともありました。

今ならテレビで事件として放映されると思われますが、当時は小学校で問題になった記憶もありません。

親や大人は自分たちが生きるのに必死の時代だったからしょうか。

この土手に生えているサンゴジュは私たちの遊びの材料として、とても重要なものでした。

当時はチャンバラをして遊ぶのは誰でもやっていた遊びだったのです。

侍頭巾を作るために、風呂敷を三角にしてそこに顔を入れ、眼だけ見えるようにして頭の後ろで結びます。

今から考えると格好の良いものではありませんが、眼だけ見えるように顔全体を包むという感覚が英雄の気分になれたのです。

剣を調達するのにサンゴジュが最適でした。

春になるとサンゴジュは古い枝から真っ直ぐに若い枝を垂直に伸ばす特性を持っています。

若い枝は太さといい長さといいチャンバラするには丁度よく、剣の部分の皮を剥ぎ柄のところだけを残すと、チャンバラの剣として最適なものが出来上がります。

この剣を作れるのは春が終わる頃で、私たちはサンゴジュの垣根の恩恵を受けながら子供時代を過ごしました。

先日蟹江川の土手脇に生えている生け垣のサンゴジュを見かけました。

なぜか嬉しくなって写真と動画を撮ってしまいました。

あの頃は楽しかったなぁー。

(スイカズラ科 ガマズミ属)

カモ撮りこうちゃん