名古屋周辺ではアオスジアゲハの食草(樹)のクスノキをどこでも見かける

小さい時にはどの神社の境内でもクスノキを見かけたものです。

境内以外でも名古屋城内とか名古屋駅前の街路樹としても植えられています。

古いものは大木で幹が小さく裂けてザラザラしています。

少年時代の想い出の風景には、こんもりしたクスノキの木の下で虫捕りしている自分を思い浮かべてしまいます。

東北に住むようになって、クスノキはほとんど見たことがありませんでした。

神社で数本見かけたことはありましたが、山でクスノキを見たことがありません。

東北の冬は山の木々の葉が落ちて、ほとんど枯山水の絵のようになります。

初めてその山の自然の光景を見たときとても驚いたものです。

クスノキは南方系の常緑樹でその表面がテカテカしています。

中尾佐助のいう照葉樹林帯の特長で、森の中に入ると薄暗い感じがします。

構成する木の中にカシの他にクスノキも入っているのではないかと思われます。

常緑樹は落葉しないとずーっと思い込んでいたのですが、実は一年中落葉しているのが常緑樹だと後年になって知りました。

因みに私がクスノキに特に興味を持ったのは、アオスジアゲハの食草(樹)だからです。

2021.5.14付けのblogで書いたように、アオスジアゲハはクスノキの生えている地域に規定されていると考えていました。

ところが山形県の飛島でもアオスジアゲハが生息していたのです。

それはクスノキ科のタブノキに産卵していたからでした。

「樹木図鑑(クスノキ)」には「成木の樹皮は暗褐色で、縦に短冊状にやや深い割れ目がある。若い木の樹皮には葉緑素があり、幹でも光合成を行う。葉や材には芳香があり、テルペノイドの一種である樟脳を含有する。このため飛鳥時代の仏像の多くはクスノキ材からできている。~中略~ 材や葉には共に約1%の精油を含み、そのチップを水蒸気蒸留すると樟脳油が得られる。樟脳油には50~60%の樟脳の他に、多くの精油を含む。~中略~ クスノキの英語名はCamphor treeで、樟脳の英名(カンフル)でもある。昔ダメになりかけた物事を復活させるための処方を『カンフル剤を打つ』などと言われた。注射剤の形の樟脳は、強い強心作用を示すため、呼吸、血管、心臓の興奮薬として用いられてきた。」と記されています。

「野鳥と木の実ハンドブック」(叶内拓哉 文一総合出版)には「クスノキは10月頃に実は熟すが、鳥が好んで食べるということはない。それでも12月頃になるとメジロ、場所によってはカケスなども採食する。」と記されています。

私が見かけているクスノキの実は春までにはほとんどなくなってしまいます。

ヒヨドリ、キジバトやムクドリが食べているようです。

鳥たちは美味しいものから食べていき、生き抜くためには美味しくないものも食べていくという規則性に従ってのことでしょうね。

 (クスノキ科 クスノキ属)

カモ撮りこうちゃん