タラノキに棘(とげ)がないものがあった
東北で山の林道を歩いていくと、道沿いや少し入ったところでタラノキを見かけます。
春になると枝から新芽が出ていると美味しそうに見えてしまいます。
ワラビ、ゼンマイ、コゴミやミズ(ウワバミソウ)などの山菜の他に、タラノキの新芽(タラの芽)はご馳走です。
天婦羅は絶品で灰汁がなくとても美味しいのです。
そんなタラの芽を長い柄の鎌を持って入って、新芽がまだ小さい枝ごと切り取って収穫していく人もいます。
家でバケツに入れておくのでしょう。
そんなタラノキは棘があって採るのに大変だというイメージです。
日光川ウォーターパークの愛西市側の道端で植えてあるタラノキに新芽が出ていました。
何年も前から知っていたのですが、タラノキの前には「タラの芽を採らないように」と掲示されています。
一番驚いたのはそのタラノキの幹や枝には棘が全くないのです。
そんなタラノキを見たのは初めてでとても驚きました。
採らないように掲示があるのに、枝先の新芽が切り取ってあるものが既に何本かありました。
「この芝生に入るな」と書かれていると、入ってみたくなるのと同じかもしれませんね。
そこで棘のないタラノキの動画を撮りました。
その棘のないタラノキの話を天童の知人にしたら「それはモチタラというタラノキですよ。」と教えてくれました。
「私が小さいときにお祖父さんがモチタラの新芽の方が柔らかくて美味しいといっていました。」と話してくれたのです。
幹や枝に棘がないタラノキがあるのを昔から農家の人たちは知っていて利用していたようです。
知人は宮城県蔵王町育ちです。
蔵王連峰東側にあたりモモの産地として有名なところです。
「しいたけの伊豆高原情報と放浪旅」には「植えたのは『とげ無し』だったのですが、その内『とげ有り』も出てくるようになりました。山菜の王様と呼ばれる『たら』ですが、『とげが無いよ』と申したら皆様からいっせいにそれは『うるし』と言われ食べるのを躊躇ってしまいました。栃木県の人から『これはモチたら』と言われる種類、食べても大丈夫と保証され論争に決着がつきました!」と記されていました。
蟹江周辺でも庭や畑の隅にタラノキを見かけます。
吉野にサクラを見に行った時にもタラノキが生えていました。
全国的に分布しているようです。
ウコギ科で羽状複葉と総状花序なので分かりやすい木です。
でも記憶にあるのはみんな棘があったように思います。
棘がないタラノキがあること、それをよく知っている人たちが昔からいたことに驚くとともに、棘なしのタラノキを栽培し増やしてきたのだろうと思ったものです。
(ウコギ科 タラノキ属)
カモ撮りこうちゃん