庄内緑地にハナショウブを見に行く

先日カキツバタ、ハナショウブとアヤメの違いを記しました。

3種類ともアヤメ科で区別し難いところがありますが、ハナショウブとショウブは同じ名前が入っているのにアヤメ科とサトイモ科で違っています。

サトイモ科のショウブは5月の節句に飾ったりショウブ湯に入れますが、とても良い匂いがします。

道端でショウブを見かけると葉を千切って、いつも嗅いでいます。

蟹江周辺ではハナショウブは6月になると見かけるようになります。

種類も多く中には豪華なものも見られます。

小さい頃に遊んだ名古屋市西区の庄内緑地のハナショウブが有名なので、そこに出かけてみました。

公園内にハナショウブが植えらえた一角がありました。

浅い池状になっていて百種近くのハナショウブが畝(うね)で列になっていました。

1列の中に何種かのハナショウブが密生して植えられているところもあります。

種が交雑してしまうのではないかと心配になりました。

花の最盛期だったので鑑賞に来ている人も多数見られました。

その近くに品種名の書かれたて掲示板がありました。

いくつか挙げてみると「誰が袖」(赤紫に斑入り)、「都錦」(薄紫地に濃紫脈、花弁の花元が黄色)、「滄国」(青地に白脈)、「竹取姫」(花弁が薄紫で花元が黄色)など雅な雰囲気の名前が並んでしました。

外国種の「ベネチアンベルベット」(花弁が青紺系)とか、山形県長井の「長井小紫」(長井古種)もありました。

品種名と系統名が書かれていて、江戸時代からのものと推測されます。

その系統は主に3系統が記されており、1つ目は江戸系で「小町娘」(白地紅脈)、「小笹川」(水色地紫脈)「小青空」(水色地紫脈)など15品種が、2つ目は伊勢(松阪)系で、「曙光」(淡桃色)、「藤衣」(藤色)、「青柳」(薄紫砂子)3品種が、3つ目は肥後(熊本)系で、「桃山の宴」(ピンク)、「葦の浮船」(白地に藍脈)の5品種がありました。

掲示板には5系統が示されており、ナデシコのところで述べたように江戸時代に園芸が盛んだった江戸、肥後(熊本)、伊勢(松阪)などでハナショウブも含まれていたようです。

系統別の特徴は

①江戸系は花弁に隙間があって三英咲きが多く、庭園に群生させて総合的な美しさを観賞するのに良い 

②肥後系は江戸系を改良したもので六英咲きが多く、力強く室内観賞向き 

③伊勢系は松阪を中心に改良されたもので、花弁が深く垂れたちりめん地の三英咲きで繊細な美しさを持つ ということです。

ハナショウブも長い時間をかけて改良してきた、長い文化が集約されたものなんですね。

文化財というと建物や美術品ばかりを思い浮かべますが、野菜や園芸植物も人間が育ててきた文化そのものだと実感してしまいました。

(アヤメ科 アヤメ属)

カモ撮りこうちゃん