初めて東北に出会ったと感じたクルマバソウ

天童周辺の奥羽山脈の野山を歩き回って、初めて東北だと感じた植物があります。

それをきっかけに色々な植物を知るようになりました。

エンレイソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、カタクリなどたくさんの植物を知るようになりました。

その出会いのきっかけになったのがクルマバソウです。

背丈も小さい野草ですが、輪生の葉と白い小さな花が印象的でした。

育った名古屋付近では見かけていませんでした。

このクルマバソウはヤエムグラ、キクムグラ、ヨツバムグラなど「ムグラ」とついた仲間に近い植物です。

広辞苑で調べると「八重葎(やえむぐら)など、荒れ地や野原に繁る雑草の総称。」となっています。

ヤエムグラもクルマバソウも一か所に繁茂している情景を思い出してしまいます。

初めてクルマバソウを見かけたのは、山形県の関山峠の入口付近でした。

ここは関山トンネルができる昭和43年(1968)までは仙台に抜ける峠道だったのです。

多くの事故があり、峠越えの最中にタクシーの後部座席の乗客がいなくなったという話がまことしやかに囁かれていたのを思い出します。

入口から入ったすぐ脇に白い花を咲かせている小さい植物を見かけました。

花は小さくてジャスミンを思い出させるような白い花で、とても清楚な感じがしました。

クルマバソウという名前通りに葉も輪生で車輪のようにも見えます。

それも印象的でした。

こんな花が東北にはあるんだという感じだったのです。

それが自然の中で生きている姿に感動してしまいました。

育った名古屋では、花や植物は園芸種で華美でこれでもかという感じの色彩のものが多かったのです。

庭には松があり庭石があって、それが庭だと思い込んでいました。

東北で暮らすようになって、園芸植物や人工的な庭を見ると、植物を人間の都合の良いように変えてしまう思想に違和感を持つようになりました。

今では冬枯れや新緑の雑木林の素晴らしさが素敵だと思うようになりました。

「日本の野草」(林弥栄編 山と渓谷社)には「葉が車のように並ぶことからこの名がある。クルマムグラなどに姿が似ているが、地下茎は長くない。茎は高さ20~30㌢で枝分かれしない。葉はやや厚くつやがあり、6~10枚が輪生し、長さ2~4㌢で1本の中脈が目立つ。花は4㍉ほどで筒の部分が長い。果実には長い棘状の毛がある。乾くと全体にクマリンの香りがあり、ヨーロッパンではビールやブドウ酒の香りづけに使う。花期5~7月 生育地山地 分布 北、本。」と記されています。

まだまだ親しんでいないので、少しずつ学んでいこうと思っているところです。

(アカネ科 クルマバソウ属)

カモ撮りこうちゃん