雑木林のネコに餌を与えている高齢女性と話をした
永和の雑木林には半野生と思われるネコが住んでいます。
いつも見かけるのはトラネコですが、他に何匹か見かけることがあります。
そのネコたちに毎日餌を運ぶ高齢者の女性がいます。
雑木林には餌用のプラスチック皿が何枚か色々な場所に置いてあります。
ここは写真撮りの定点観測地なので、永和駅北側の叢に車を停めて1時間ほどかけて写真を撮っています。
今の季節はモズ、ダイサギ、ナツアカネ、アキアカネ、コノシメトンボ、ヒメアカタテハ、キタキチョウやモンシロチョウに出会うことが出来ます。
そんな写真撮りをしていた時に、その高齢者の女性とばったり出会いました。
いつも知らんぷりしているのに彼女から話しかけてきました。
「今、カギを失くして探しにきたのです。」と言いながらカギを見せてくれました。
「私はいつもあなたの車が置いてあると怖いのです。」というではありませんか。
「どうしてそう思うのですか。」と尋ねると、「私は犯罪者です。」というのです。
「それはネコに餌をやっているからですか。」と尋ねると「そうです。」と応えました。
彼女の近くにはそのトラネコがいました。
私とその女性が話し出すと、近くの稲刈り後の田んぼに行って横たわりました。
これまで見かけているうちに、このネコが他のネコの母親ではないかと思うようになりました。
他のネコがこのトラネコに甘えていたからです。
私がチーズなどを傍に投げても一切口にしません。
その高齢者が来る時間になると畦道の真ん中で待っているのです。
「このネコは母親ですか。賢いネコですね。」と私が話すと「そうなんです。かれこれ10年位生きているのです。後2~3年もすると死ぬでしょう。私も高齢者でどちらが先になるか分かりません。」と応えました。
随分前から関わっているようでした。
と言いながら自分のこれまでの仕事やネコの話をし出しました。
この女性はネコに餌を与えることが罪悪だと考えているようです。
団地でネコを飼うことが難しくなっているようです。
料理教室の先生をしていたので、犬でもブタでも解体できると話しました。
「ちょっと矛盾しているのですけど。主人には内緒でしているのです。」と話しました。
私に対する言い訳に聞こえました。
私が「ネコに餌を与え続けることを罪悪だと思いませんよ。気にしないで良いですよ。」と応えました。
そんな話をしながら、私からなかなか離れないのです。
それでもきっかけを作って別れました。
ノラネコに餌をやることが罪になるかどうか分かりません。
テレビでノバトに餌をやって糞害で住民に迷惑をかけるニュースなどが放映されています。
野生動物を餌付けすることが罪悪だと思わせるニュースです。
半面ペットは死ぬまで家族同様に面倒をみることが当たり前だと言われています。
でも引越しなどで飼えなくなると山中や川にペットを捨てる人たちもたくさんいます。
この問題は一筋縄では解決できないものだと思われます。
幼い頃ノラネコにどこの家でもご飯の残り物を与えていたものです。
ペットには餌を与えて愛護することと、野生動物には餌を与えていけないことが二律背反になっています。
ましてや半野生の場合にはどう考えたら良いのでしょう。
またこの女性の罪悪感の根源はどこから来ているのか、なかなか難しい問題です。
でも結局は人間のエゴイズムによることは確かなようですね。
(食肉目 ネコ科 ネコ属)
カモ撮りこうちゃん