ケシ科だったエンゴサク
東北に春がやってくると、雑木林や杉林の下に春の花が咲き出します。
昔からカタクリの花を見たくて、叢や雑木林の縁などをよく歩いたものです。
そのカタクリを探しているとアズマイチゲ、キクザキイチゲ、ニリンソウやキバナノアマナの他に変わった花を見かけるようになりました。
それがエンゴサクです。
筒状の花が茎の上の方に集まって咲きます。
初めて見たとき葉の様子からニリンソウなどと同じキンポウゲ科の仲間だと思い込んでしまいました。
アズマイチゲやニリンソウの葉の様子とよく似ているのです。
上位の目レベルでは「キンポウゲ目」なので、遠い親戚のようです。
花はムラサキケマンと似ています。
ムラサキケマンは海津市のハリヨ公園内でも見かけました。
子どもの頃にも見た記憶があります。
でもエンゴサクは見たことがありません。
7~8年前の4月末に、天童の若松観音の登り口の道路脇の林の中で、若い人たちがある範囲をビニールテープで囲んで、椅子に座ってその花が咲いている場所を観察し、記録をとっているのを見かけました。
その傍に40代位の男性が立っていたので、その男性に「何をしているのですか。」と尋ねたところ、「この花にどんな蜂、ハエや甲虫が蜜を吸いに来るか、その頻度を調べているのです。」と応えてくれました。
「この花はキンポウゲの仲間ではないですか。」と尋ねると、「葉は確かに似ているがケシ科のエンゴサクです。」と教えてくれました。
山形大学の理学部の学生たちでした。
葉がキンポウゲ科に似ているのにケシ科だったのです。
その後エンゴサクをよく見かけるようになりました。
白い花や薄紫色の花を咲かせるエンゴサクがあります。
春のある時期によく見かけましたが、その後は見なくなりました。
エンゴサクも春の短い時期にだけ花を咲かせるので、春の妖精「スプリング・エフェメラル」と言われています。
目立ないけれども、とても可憐な花だと思います。
ムラサキケマンは東北でも東海地方でも見かけるので広範囲に分布しているようです。
私が見かけたエンゴサクは東北地方特有である可能性があります。
撮った写真を見ると、花の下の苞葉(ほうよう)の形に違いがあるものがありました。
「Tore-Tate.com」では、エゾエンゴサクは「苞葉が普通は切れ込まない。また切れ込む場合は深く不規則に切れ込む。」とあります。
またミチノクエンゴサクは「普通櫛の歯状に切れ込むが、切れ込まないものもあるという。」と記されています。
天童周辺では2種類のエンゴサクが分布しているようです。
エンゴサクについてはこれから勉強する予定なので、楽しみに思っているところです。
(キンポウゲ目 ケシ科 キケマン属)
カモ撮りこうちゃん