なぜハシビロガモは大きく感じるのだろう
初めてハシビロガモを見た時、その嘴の大きさに驚きました。
またその嘴はヘラのように平べったいのです。
その頭に比べ大きい嘴を見て大きなカモだと思いました。
先日愛西市の福原輪中に出かけた時に、コガモの群れが去年埋め立てた人工湿地跡の大きな水溜りに、群れで夜を過ごしています。
夕方になると水辺近くに降りているからです。
昼間、近くを私が歩いて行くと飛び立って水溜りの別の場所に移動します。
飛び立った場面を写真に撮ったのですが、コガモだけだと思っていた中にハシビロガモの群れが混じっていました。
パソコンで写真を確認するまで分かりませんでした。
体の大きさに違いがあるはずなのにコガモとハシビロガモを区別できなかったのです。
カモの体長を調べるとコガモ34~38㎝、ハシビロガモ44~52㎝、ヒドリガモ42~50㎝、オカヨシガモ45~57㎝、マガモ50~60㎝、カルガモ58~63㎝、オナガガモ51~76㎝となっています。
一番小さいカモはコガモだと知っていましたが、ハシビロガモはマガモやカルガモと同じ大きさだと思い込んでいました。
実際にはハシビロガモは中型のカモです。
なぜ私が大型のカモだと思い込んでしまったのか。
初めて見た時、不釣り合いの大きなヘラのような嘴に惑わされたのではないかと思われます。
不釣り合いな大きな器官を持っていることから、体全体のバランスを取るように、ハシビロガモの大きさを無意識に修正して体を大きくさせてしまった可能性があります。
最近までハシビロガモは大きく見えて仕方ありませんでした。
ただコガモとか、オカヨシガモなどと混群になっていると相対的な大きさを確認できます。
コガモより大きく、オカヨシガモより小さいので中型のカモだと認識できますが、単独の群れでいるとやはり大きく見えてしまうのです。
絶対的な大きさの認識はとてもあやふやな感じがしています。
ヒヨドリやキジバトでも、距離の問題があるものの、単独でいると大きく感じたり小さく感じたりすることがあります。
鳥の大きさを判定する時にスズメ、ヒヨドリやムクドリ、カラスなどを元にして、それよりは大きいとか小さいと相対的に判定するようですが、その基準にしている鳥そのものが単独でいる時はっきりしないことも起こります。
体のバランスといえば、タシギやチュウシャクシギなどは嘴が異様に長く、体の重心がどこにあるのか心配になります。
飛翔する時はとても難しいだろうと思うのですが、何の不思議もなく飛翔していくのを見ると不思議に感じてしまいます。
これらのシギの場合にはなぜか無意識の修正が起こりません。
バランスの歪みが大きすぎるからでしょうか。
でも私たちは見た対象を自分の考えている標準や典型に無意識に作り変えてしまう習性を持っているらしいことを、ハシビロガモを通して感じてしまいました。
カモ撮りこうちゃん