そこら中で見かけるキョウチクトウだけど
キョウチクトウは道路脇や工場の端などに植えられています。
私たちの生活の中ではごくありふれた木です。
キョウチクトウが道路脇の排気ガスの多い環境で生きていかれるのは葉の気孔の仕組みに関係がありそうです。
植物は葉に気孔という空気の出入り口があります。
炭酸同化作用で酸素と炭酸ガスの出入り、また水蒸気の出入りなどの機能を果たしています。
その調節によって植物が生長し萎れないのです。
中学生の頃、気孔は葉の裏にあると学びましたが、実際には葉の表と裏にある場合が多いようです。
ツバキのような表がキチン質のものは葉の裏にしかありませんが、イネやススキのような単子葉植物では表と裏に気孔があります。
キョウチクトウの気孔の入り口には毛が生えていて、排気ガスの汚れたものを防いでいるらしいのです。
人間の鼻毛と同じ役割なのでしょうか。
最近では中央分離帯にはバラ科のシャリンバイが植えられています。
このシャリンバイもキョウチクトウと同じ仕組みになっているのか、そのうち調べたいと思っています。
キョウチクトウは昔読んだ本の中で、終戦の日にそのうだる様な暑さの中でキョウチクトウの赤い花が印象的だったという文章を読んだことがあり、なぜかそれを妙に覚えています。
そのキョウチクトウには猛毒があるようです。
「毒草を食べてみた」(植松黎 文春新書)には「その毒はおもに強心配糖体という心臓に作用する成分で、オレアンドリン、アディネリンといった物質が、葉、花、枝、茎、また、それらを折ったときに出る白い乳液など、植物のすべての部分に含まれている。古代ギリシャのアレキサンダー大王率いる軍隊は、キョウチクトウの枝を串にして肉を焼いたため多くの兵士を失った、と伝えられている。同じような事件は、ナポレオンの軍隊にも、太平洋戦争のとき南方にいた日本軍にも起こった、といわれている。」と述べられています。
私たちの身の周りにある植物のスズラン、スイセン、エゴノキ、アセビ、オトギリソウ、フクジュソウなどはそれぞれ毒を持った植物です。
気をつけましょう。
スイセンはノビル、ニラ、アサツキやアマナと混生していると一緒に食べてしまうことがあるようです。
特に球根にはリコリンを含んでいると言われています。
身近にある植物にも花を愛でるだけでなく、毒があることも併せて知ることが必要なことだと感じてしまいました。
(リンドウ目 キョウチクトウ科 キョウチクトウ属)
カモ撮りこうちゃん