実を潰して嗅いでみたヘクソカズラ
天童周辺でも蟹江周辺でも夏になると見かけるのがヘクソカズラです。
小さい花がたくさんツルについて咲き出します。
ヘクソカズラという名前が近寄りがたくさせてしまいます。
野草の中には、とんでもない名前のものが結構あります。
例えばママコノシリヌグイ、ハキダメギク、オオイヌノフグリとか。
名づけた人に命名権があるとはいえ、面白さを通り越して少し乱暴な感じさえします。
でも昔からの言い伝えられたものが定着したのかも知れませんが。
このヘクソカズラは、いわき市の友人から送られてきた写真にもありました。
福島県や茨城県の北部にも生えているようです。
恐らくどの地方にも普通に見られる植物だろうと推測されます。
天童に住んでいた頃、アパートの西側の畑の縁にも、ヘクソカズラが生えていました。
ヘクソカズラの花は筒状の合弁花類で、周りのハナビラは白く、真ん中が赤くなっています。
でも生えていたヘクソカズラはハナビラが赤い変種だと思われました。
いろいろ歩き回っていますが、そんなヘクソカズラは見たことがありませんでした。
少し経ったら畑の縁の雑草が刈り取られて、赤いその変種もなくなってしまいました。
翌年にまた生えてくるだろうと思って、翌年になって観察していたのですが生えていませんでした。
人にとって役立つものとそうでないものに分けて、そうでないものを雑草といって駆除してしまうのが普通です。
昭和天皇が皇居で草刈りしている人に「何をしているのか?」と尋ねたところ、「雑草を刈っているのです。」と応えたのに対し、天皇が「雑草という植物はありません。みなそれぞれ名前があるのです。」と応えたエピソードを想い出します。
人間にとって役立つかどうかで色々な動植物を分ける思想は、本当に正しいものなのか考えてみる必要がありますね。
秋に宝川の土手を歩いていたら、ヘクソカズラがたくさんの実をつけていました。
1つとって潰してみたら、やはり余り良い匂いはしませんでした。
でも強烈な悪臭という感じでなかったのです。
名前で予想されるほど臭くないなぁと思ったものです。
「日本の野草」(林弥栄編 山と渓谷社)には「林のふちや、やぶなどに生える多年草のつる草。全体に悪臭があることから屁くそ蔓(かずら)と呼ばれている。また花の中央が赤く、お灸(ヤイト)の跡に似ていることからヤイトバナとも呼ぶ。秋に黄色で光沢のある球形の実をつける。」と記されています。
皆さんも散歩中に、叢や垣根できっと見かけると思います。
是非探して見てください。
(アカネ科 ヘクソカズラ属)
カモ撮りこうちゃん