清楚に咲いて心に残るオオイワウチワ
春に東北の山に入ると、春の草花に出会えます。
想い出に残る花にオオイワウチワがあります。
高山に至る山道の脇に咲いている花です。
山の雪が融け出し、少しずつ新緑になって来た頃に咲いています。
4月20日過ぎに天童高原(634m)から北面白山(1264m)に向かう山道を歩いて行くと、左側の崖の斜面に薄いピンクの花を咲かせる植物を見かけました。
春先に1人で山道を歩くときは緊張します。
冬眠から覚めたクマに遭遇するかもしれないからです。
山道を歩いていて男性の登山者に出会いました。
仙台の人で北面白山に登って戻ってきたところです。
立ち話した時「山道でクマを見かけても、大体はクマの方が逃げていく。ある時逃げずに向かってきて顔の一部を齧られた。」と話して、その傷跡を見せてくれました。
その話す様子はクマを恐れていない雰囲気がありました。
そのピンクの花は雰囲気からイワカガミだとずーっと思い込んでいました。
「日本の野草」(林弥栄編 山と渓谷社)には、イワカガミとトクワカソウが載っていましたが、その区別もつかないままだったのです。
その花の雰囲気が清楚で何か儚さを感じさせるところが美しいと思いました。
その後ある図鑑を見ていたらオオイワウチワだったのです。
図鑑ではトクワカソウが載っていました。
よく見直したら葉が小振りなだけで似ていることに気がつきました。
「オオイワウチワとは?」(BOTANIKA)には「イワウチワの基準変種で青森~新潟など、日本海側の雪深い環境に生息する多年草植物です。耐寒性がある常緑多年草のオオイワウチワは、雪解けとともに真っ先に淡いピンク色の花を咲かせる、春の代表的な草花の一種類です。草丈は15cm程度で、群生する傾向があります。」と記されています。
「植生環境は山地、林内。開花時期は4月下旬~5月」となっています。
奥羽山脈の山の中に入ると、まだ人の手が入っていないところが多く、そのままの自然環境が残されています。
そこで見かける野生の草花を見る時には、見せていただく感じがしてなりません。
余談ですが、鎌倉の建長寺、京都の建仁寺や龍安寺などにも出かけましたが、とても綺麗な庭園ですが、人が自然を制御している感じが拭えませんでした。
それに比べると、山寺は自然に合わせて作られている感じがします。
前3つが鎌倉から室町時代なのに対し、山寺は平安時代の建立だからかも知れませんね。
まあ好き好きですが、なぜか山寺の方に魅かれてしまう自分がいます。
なぜでしょうかね?
(イワウメ科 イワウチワ属)
カモ撮りこうちゃん