チョウの幼虫の食草 その1
昔からモンシロチョウの幼虫の食草はナノハナやキャベツだと思っていました。
それがどのチョウも同じだと思っていたのです。
モンシロチョウに似ているモンキチョウの幼虫もナノハナやキャベツを食べていると思い込んでいました。
アゲハチョウの幼虫は柑橘(かんきつ)類のサンショウやミカンの葉を食べて大きくなります。
似たキアゲハも同様に柑橘類に卵を産んで幼虫が大きくなると考えていたのです。
でもこうした考え方は誤っているようなのです。
一事が万事というように考えていたのですが、チョウによって異なる植物に産卵して幼虫が育つ場合が多いようなのです。
そんな例をいくつか紹介します。
モンシロチョウ → ナノハナ、ダイコン、キャベツ(アブラナ科)
モンキチョウ → シロツメクサ(クローバー)、レンゲソウ(マメ科)
アゲハチョウ → サンショウ、カラタチ、ミカン(ミカン科)
キアゲハ → セリ、パセリ(セリ科)
アオスジアゲハ → クスノキ、タブノキ(クスノキ科)
どの動物もそうですが、個体維持と種族維持が必要です。
チョウの場合、個体維持のために花の蜜を吸ってエネルギー源を補給します。
ハルジオンやヒメジョオンの花にモンシロチョウ、モンキチョウやアゲハチョウが同じように吸蜜しています。
それを見て幼虫の食草も同じだと思ってしまっていました。
モンシロチョウとモンキチョウが同じ範囲で活動していて交雑して雑種がができないかと心配しますが、雑種を見たことがありません。
それぞれの種でオスとメスの交尾までに至る行動系列が違っていて、交雑が避けられているようなのです。
またチョウによってなぜ食草が異なるかというのは、それぞれが食草になっている毒性がある植物に取りついて、その毒性を取り除く方法を進化の過程で獲得してきたからと言われています。
他の種のチョウが取りついても死滅してしまうと考えられます。
ある特定の植物とチョウとの共進化の過程で得られた適応行動だと思われます。
それにしても、多様な植物に多様なチョウがそれぞれ産卵して、子孫を繋いでいくことに感嘆しない訳にはいきません。
カモ撮りこうちゃん