東北でしか見ていないウツボグサ

天童にいる頃、土日は周辺の丘や森に入り込んで動植物の写真を撮っていました。

森の中で野鳥の写真を撮るのは難しく、写真の対象の多くは植物になっていました。

植物の中でも東海地方の海辺に近い蟹江周辺と山沿いで盆地の一角にある天童周辺では、気候の違いも関係して植生が異なっているように思われます。

植物についても天童周辺では見かけるのに、蟹江では見かけないもの、またその逆も結構の数あるように思います。

そんな植物のうち、天童周辺で見かけていた植物にウツボグサがあります。

天童の原崎沼の「網張の里」では、6月下旬になるとウツボグサが咲き出します。

ウツボグサはシソ科で茎が四角く、青紫色の花を咲かせます。

遊歩道の隅にも数本咲いていますが、「網張の里」の叢(くさむら)にはたくさん咲いています。

「網張の里」の叢の様子を観察していると、動物の種内の縄張りによる棲み分け同様に、植物では時間経過に伴う棲み分けが見られます。

時期が過ぎていくと、これまで咲いていた植物が枯れて、次の植物が花を咲かせるというように変化していきます。

だからウツボグサはこの時期の数週間しか見られないのです。

ウツボグサのウツボというと、すぐ魚のウツボと狂信のウツボザルを想い出します。

魚のウツボは海中の岩や穴に住むことから、その穴をウツボラということから名づけられたと言われています。

一方の狂信のウツボザルは、大名が猿回しの子ザルの皮を、矢を入れる背負い袋のウツボを作ろうとしたことに始まる物語です。

本来のウツボの意味合いと同じです。

ウツボグサのウツボの由来も矢を入れる道具の形から来ているようで、別名を「夏枯草」(カゴソウ)といい、薬用植物としても利用されています。

このウツボグサの花は、花が一斉に咲くのではなく、花部の下の部分から咲きだしてだんだんと上に咲いていきます。

ヘラオオバコなどの咲き方と同じです。

時間経過に伴いながら咲かせることで、昆虫などの受粉の機会を増やす戦略だと思われます。

なかなか賢い戦略ですね。

皆さんも6月下旬にウツボグサの花を探して見てください。

そして茎が四角いかどうかも確かめてください。

周りには多くのシソ科の植物が生えています。

それらを探して見つけてください。

楽しいですよー。

(シソ科 ウツボグサ属)

カモ撮りこうちゃん