不気味な存在のマムシグサ(テンナンショウの仲間)
天童周辺のどこの山に入っても、叢(くさむら)の中でマムシグサの仲間の花を必ずというほど見かけます。
この仲間は毒草なのえ食べてはいけないと聞かされてきました。
花といっても他の花とはまるっきり姿が違っています。
メシベと思われるものが緑や茶色の筒に囲まれていて、その先だけがちょっとだけ見えるだけで、花の中の様子が分からないのです。
しかも天辺(てっぺん)が傘になっている風情です。
この筒を仏炎苞(ぶつえんぽう)と言っています。
見るからに不気味な感じです。
昆虫がこの先に入ったら生きて戻れない雰囲気を醸し出しています。
しかも薄暗いところに生えているのが多いのです。
この仲間はサトイモ科の仲間ですが、ミズバショウも同じ仲間に入ります。
その下のマムシグサが入るテンナンショウ属には大小のものがあって、私は小さいカラスビシャク(ハンゲ)を日当たりのよい場所で見かけました。
同じ仏炎苞の花を咲かせていました。
秋に山道を歩いていると、植物が枯れて茶色になる中で、赤や黄色のトウモロコシのような実に出会いました。
それがマムシグサの実でした。
食べたくなるほど魅力的な実です。
花は不気味なのに、実はトウモロコシというギャップが凄いと思いました。
調べてみると、仏炎苞でメシベと見える太いものは付属帯で、その下の方に雄しべか、雌しべがついているようです。
生長していくにつれて、ある年の雄(お)株から翌年には雌(め)株に変わる性転換の芸当をするといいます。
また昆虫、特にハエが仏炎苞の中に入ると、付属帯で滑って上には逃げられないのです。
ハエが右往左往しているうちに受粉させる仕組みになっているそうです。
逃げ口は下に作られていて、最後は逃げられるようですよ。
一番肝心の属性ですが、サポニンとシュウ酸カルシウムの二つがあります。
サポニンはマメ科にも含まれていてゴリラは食べないと言われます。
細胞膜を破壊する作用があります。
シュウ酸カルシウムは針状の結晶で、皮膚に突き刺さって激しい痛みをもたらすので、口に入れたら焼けつくような感じではないかと思われます。
山道でマムシグサの花を見かけても近づきたいとは思わないし、秋になる実も食べたいとは思いません。
そんな近寄るなのサインを醸し出しています。
でも大飢饉の時なら、食べようとする人も出てくるかもしれませんね。
どちらにしても死に近いのですから。
(サトイモ科 テンナンショウ属)
カモ撮りこうちゃん