春の妖精といわれるカタクリの花
東北で初めてカタクリの花を見ました。
それまでに図鑑で花びらが反り返って咲いているのを見ていました。
ギフチョウがカタクリの花に吸蜜に来ることも知っていました。
カタクリは春の季節にだけ咲く、春の妖精といわれる仲間です。
宮城県村田町の山に入ると、人が誰も来ない崖っぷちや原っぱにカタクリが群生しているのを見かけます。
何か幸せな気分になります。
観光名所のカタクリではなく、子孫を増やすためだけにひっそりと咲いているのです。
そんな光景を独り占めできる幸運を何度も経験してきました。
カタクリを知った頃、カタクリの球根を堀りだそうとしたのですが、途中で切れてしまいました。
球根までが深いようなのです。
カタクリもユリ科の植物同様に、球根と種の二段構えで子孫を増やしていきます。
球根に小さな球根が脇について増えますが、種の場合には花が咲くまで7年かかると言われています。
だからカタクリは主に球根で少しずつ増えながら生存場所を増やしていき、種はそれよりは可能性が少ないものの、飛散させて遠隔地に生存場所を確保しようとする戦略なのでしょうね。
カタクリの花は朝方閉じていますが、陽射しを浴びると花が開き、気温が高いと花びらがそっくり返ります。
夕方になると閉じてしまいます。
昼間は花が咲いているのが分かりますが、夕方には存在が分からなくなります。
そんなところも美しいと感じてしまうのです。
天童で自宅から車で5分ほどの丘陵の麓に、カタクリが点在して咲いていました。
増えて欲しいなあと思いながら写真を撮っていると、自転車に乗ったおばさんが近づいてきて、降りてせっせとカタクリの葉を千切って集め出しました。
「何をするのですか。」と尋ねると、「お浸しにして食べるのだ。」といいます。
昔から葉は山菜として食べられていたようなのです。
NHKの朝番組で、山形の鶴岡付近ではカタクリを採ってお浸しにするという話をしていました。
昔からカタクリを自然の恵みとして食べていたようです。
私からすると採り過ぎないようにと祈るばかりです。
鶴岡の下田沢カタクリ園は2ヘクタール程の広さにカタクリが生えているそうです。
そこには白いカタクリがあると聞かされています。
植物には脱色して白い花を咲かせるものがあります。
ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ツリフネソウなどでは見かけています。
白いカタクリがあっても不思議ではないのですが、まだ私は見ていません。
いつか見たいものだと思っています。
(ユリ科 カタクリ属)
カモ撮りこうちゃん