ヒヨドリの餌の種類と時期に伴う変化

鳥たちの秋から冬にかけての行動を観察していると、色々気づくことがあります。

その1つは餌となる木の実に好みがあるらしいということです。

どの鳥にも人気があるのは何といってもカキです。

だんだん熟れてくるとムクドリ、ヒヨドリ、スズメなどが食べに来ます。

カキの木の持ち主も毎年のことなので収穫しないで放っておくようになっています。

鳥たちはそのことを知っていて、たびたび訪れて12月半ばにはカキを食べ尽くします。

鳥たちは計画的に加減して食べることはありません。

早い者勝ちで食べ尽くすと、次の新たな木や他の木の実を食べに移動していきます。

ヒヨドリがどんな実を食べていくのか観察すると、カキが一番早いようです。

カキを食べ尽くした12月初旬を過ぎると、センダンやナンキンハゼの実を食べ始めます。

他には宝川の土手でノブドウの実を食べていました。

1月から2月にかけて木にまとわりついたツルウメモドキの実も食べていました。

その頃になるとクロガネモチの実も食べるようになります。

季節の流れに伴って、食べる木の実も変わっていきます。

でもピラカンサ(トキワサンザシ)はほとんど食べられません。

美味しくないのでしょうか。

2月から3月になると、蟹江周辺ではミカンの仲間が黄色く色づき始めます。

民家の庭や畑にミカンの仲間が植えられています。

どんな種類か判らないものの、キンカンだけは小さいので区別できます。

その時期になるとヒヨドリがキンカンを咥えているのを見かけます。

集団でキンカンの木に群がって、実を食べ尽くすと次の木に移動していきます。

そんな2月から3月を経て3月末になると、ようやくサクラの花が咲き出します。

私の住む団地では、日本三大桜の1つ根尾のウスズミサクラの子孫のエドヒガンがソメイヨシノに先立って咲き出します。

それを待っていたかのようにヒヨドリとメジロが蜜を吸いにやってきます。

しばらくしてソメイヨシノが咲き始ます。

ヒヨドリの様子を見ていると、このサクラが咲き出す季節を、待っているように思えてなりません。

秋のカキの季節から春のサクラが咲く季節まで、いつ頃どこにどの木の実がなっているか、そして、どの順番で食べていけば良いか知っているように思えてなりません。

天候不順などで木の実が不出来の時もあるでしょう。

そんな時はいつも食べないピラカンサのノイバラの実を食べて、食いつないでいるのではないかと思っています。

ヒヨドリにとっても大好きな木の実、あまり好きでない木の実、とても好きとは言えない木の実があるのではないかと思うようになりました。

(スズメ目 ヒヨドリ科)

参考文献 野鳥と木の実ハンドブック 叶内拓哉 文一総合出版

カモ撮りこうちゃん