刺身のツマに使われていたヤナギタデ
秋に咲くタデの仲間はたくさんあって、なかなか区別するのが難しいです。
私はアカマンマと呼ばれるイヌタデの花穂と同じつきかたをするヤナギタデ、ハナタデ、オオイヌタデ、ポントクタデやミズヒキの仲間と、長い柄の先に花穂をつけるアキノウナギツカミ、ママコノシリヌグイ、ミゾソバ、サデグサの仲間に一応分けています。
その分ける理由は特になく、見た目の違いによるものです。
それらの仲間に入らないものとしてイシミカワなどが入ります。
今回紹介するヤナギタデは、東北ではほとんど見ることができませんでした。
ポントクタデと似ていて区別しにくいのですが、初めは全く区別できませんでした。
蟹江に戻って周辺を歩き回ると、ヤナギタデがそこら中に生えています。
自宅の駐車場脇にも生えていました。
とても驚きました。
ピンクと白のサクラタデ同様に、生育分布が偏っているようです。
気候条件の違いによるものと思われます。
なぜヤナギタデに魅かれるかというと、花穂が緑やピンクっぽい実が柄の先端について、イヌタデに比べると地味な感じのところが好きなのです。
もう1つはヤナギタデの赤紫色の芽を刺身のツマに使っていたことからです。
その芽の味は苦く、きっと皆さんも食べた経験があるはずです。
「タデ食う虫も好き好き」という言葉は、普通の昆虫は食べないのに、苦いタデを食べる昆虫がいることから、人それぞれで好みが違っているように使われます。
ヤナギタデを食べるのはタデハムシという昆虫がいます。
特定の植物につく植物につく害虫はタデの仲間に限りません。ウリにはウリミバエがつくし、ミントやニホンハッカにもイモムシがつきます。
本来は植物が外敵から守るために、臭いを出したり苦みを出して近づかない対策をとっているのですが、それでも葉を食べる昆虫がいます。
進化の過程でそうした共進化の関係を作り上げてきたのでしょう。
それが「タデ食う虫も好き好き」の意味だと思われます。
NHKのBS番組で、「まいど修繕屋です」という番組で、ヤナギタデのツマ栽培する畑の水まき用機械の修理依頼されたものがありました。
栽培農家の人は需要も減ってやめようかと話していました。
最近刺身を買っても、機械による千切りダイコンとオオバが乗っているだけで、昔あったヤナギタデの赤紫のツマは見ていません。
あの刺身のツマをもう一度食べてみたいと思ってしまいました。
(タデ科 タデ属)
カモ撮りこうちゃん