モズのメスも高鳴きしてた
10月になるとモズが鳴いているのを頻繁に聞くようになります。
鳴声ばかりでなく見かけることも多くなります。
オスもメスも電線に止まったり、木々の天辺に止まったりしています。
こんなにモズがいるんだと実感させられます。
夏にモズの存在を意識することはたまにありますが、雑木林の中にいて姿を見ることはほとんどできません。
モズの多くは夏に養老山地の方に行っていて、秋口になると里に下りて来るようです。
秋はオスとメス共に番(つが)い相手を探すために、存在を示さなければなりません。
オスは高らかな声で高鳴きをします。
何年かモズを観察していて、同様にメスも高鳴きしているらしいのです。
高鳴きしているモズがいるので、オスだと思って探してもメスしかいないことが度々ありました。
メスが鳴いたとしか思えませんでした。
馬鹿の一つ覚えで、鳥たちはオスだけが囀(さえず)ってメスは囀らないと思い込んでいたので、メスが高鳴きするのを知って、嘘だろうと思ってしまいました。
高鳴きしているオスの近くにメスがいる光景をよく見かけます。
番いになる前の接近行動でしょう。
カッコウも同じですが、オスが鳴いているとメスが近づいて来るのです。
オスが囀るとメスが寄ってくるのは本当なんだと、この場合でも感じました。
モズはこの季節に番い相手を探して、2月末頃になると産卵して、3月には育雛(いくすう)すると言われています。
他の鳥たちより断然早く子育てをします。
そのスケジュールだと10月頃に相手を決めなければなりません。
だからオスとメス共に必死なのですね。
産卵や育雛の季節が早いと採餌が大変だと思うのですが、畑や叢(くさむら)で冬眠していた昆虫や爬虫類などが、目覚めて出てきたのを捕っているようです。
私の少年時代には、木の枝にモズのハヤニエ(早贄)があったのをよく見かけたものです。
親から枝に刺された早贄の高さで、冬の降雪量が予想できると言われました。
最近は、そのハヤニエを見かけなくなりました。
温暖化で餌となる小動物が春先に多くなったからかも知れません。
モズは百舌と書きます。
色々な鳥の囀(さえず)りを真似すると言われます。
私が、モズがいるなと思う鳴き方はスズメが鳴くチュンチュンという鳴き声です。
スズメより断然大きく鳴くのですぐ分かります。
秋口にモズが送電線に止まってキッキッと鳴いていましたが、少し経つと優しい小鳥の鳴き声で鳴き始めました。
初めてモズのスズメ以外の鳴き真似の光景を見かけました。
多様な鳴き方ができると、メスから選んで貰える確率が高くなるだろうと思われます。
こう考えると、モズもメスが生殖の決定権を持っているのかも知れませんね。
(スズメ目 モズ科)
カモ撮りこうちゃん