川沿いに一面に咲くミゾソバ
秋はタデ科の花がたくさん咲く季節です。
すぐ思いつくのはアカマンマといわれるイヌタデですが、そのほかでは綺麗な花が咲くミゾソバが想い出されます。
東北では9月に入ると、田んぼの畔や用水路の脇に先っぽがピンク色の蕾(つぼみ)をつけたミゾソバが見られるようになります。
それを見ると、私は秋が来たことを実感します。
一面に咲いている光景は、控えめな美しさを醸し出し、秋の味わいを一層深く感じされるように思えてなりません。
蟹江周辺で秋になってミゾソバが咲いていないかと探し回りましたが、何本か善太川の川沿いに咲いていたのを確認しただけで、一面に咲いている光景は見たことがありませんでした。
10月の半ばに岐阜県海津市のハリヨ公園にトンボや鳥の写真を撮りに出かけたら、用水路脇にたくさんのミゾソバが咲いているのを見て驚きました。
ミゾソバが咲くのは東北だけだと思い込んでいたのです。
ミゾソバは茎からいくつも柄を出して、その先に蕾が頭状に10個位が集まっています。
見た目にはいつも蕾のままに見えるのですが、天気が良い時には花が開きます。
サクラタデ同様に5枚の萼片(がくへん)が花のように咲くのです。
ハリヨ公園では天気がよかったせいか、花が開きミツバチが採蜜に来ていました。
茎には下向きのトゲがあるようですが、ママコノシリヌグイやアキノウナギツカミよりは痛くなさそうです。
ミゾソバは別名を、ウシノヒタイと言われています。
それは葉の形が牛の顔の形に似ているからです。
タデ科には上述のママコノシリヌグイ、アキノウナギツカミの他にサデグサなど似ている仲間がありますが、私は葉の形で区別しています。
ミゾソバの実は、ソバの実と同様に三角(稜)の形をしています。
ソバ同様に食べられるのではないかと思っています。
調べてみると、葉や花を使って調理するものはあるものの、実を食べるものはありませんでした。
どうしてなのか不思議です。
採れる量が少ないからでしょうか。
ミゾソバは、閉鎖花という種の作り方もします。
地中で花を開かず自家受粉するというのです。
最初聞いた時は、そんなことあり得ないと思ったものです。
ツユクサは他家受粉を目指しながらも、自家受粉でも子孫を残す二段構えの戦略を採っています。
環境の変化に対する多様性を求めながら、最悪の場合には同じ遺伝子的な性質で我慢するというわけです。
このミゾソバも、同様に他家受粉と自家受粉の両方で子孫を残す戦略を採っています。
こられを知って、植物のたくましさを感じないわけにはいきませんでした。
(タデ科 タデ属)
カモ撮りこうちゃん