このネコたちは飼い猫なのか、野良猫なのか

私の定点観測地である永和近くの沼や雑木林は、産業廃棄物が捨てられていた場所で、今でも古タイヤや錆びた自転車の残骸がそのままになっています。

畦道の脇の雑木林の先は田んぼが広がっています。

雑木林は春から秋にかけて叢(くさむら)になり、その酷さが隠されてしまいます。

雑木林まで歩いていくと、叢の端にプラスチックの餌皿らしいものが何個か散乱していました。

どうしてこんなものがあるのだろうと不思議に思いましたが、誰かが捨てたのだろうと思ったのです。

産業廃棄物が捨ててあると、新しいゴミを捨てに来る輩(やから)がいるからです。

その場所でネコを見かけました。

灰色のネコで、私をじっとみつめたまま逃げる様子はありません。

ここにもネコがいるんだなと思ったものです。

田んぼや土手を歩いていると、ときどきネコを見かけるのです。

人家から離れた田んぼの畦道まで遠征してきているようです。

数日後にそこに出かけたら、自転車のカゴに荷物を乗せたおばさんが、その餌皿のところで屈んで何かをしていました。

何をしているのか尋ねようかと思いましたが、憚かる雰囲気だったので、やめて素通りしました。

いなくなってから見ると、ネコに餌を運んでいたのです。

その後、毎日餌が入っています。

雨降りでも来ているようで、叢には座布団まで置いてあります。

よく見るとネコは1匹ではなく3匹いました。

灰色のネコ、トラ模様で尾が短いネコ、トラ模様で尾が長いネコです。

私が近づくと叢や田んぼの中に隠れますが、遠くに逃げる気配はありません。

どうもこの餌を頼りに生きているようです。

雑木林でおばさんがネコを3匹飼っている風情です。

灰色のネコは野良猫ではない雰囲気です。

そのネコをある事情で捨てたのではないかと思われます。

やっぱり可哀想に思って餌を運んでいるのではないかと思われます。

他のネコたちは、田んぼまで遠征してくるネコが偶然住みついたのではないかと想像しています。

それらは飼い猫か、野良猫なのかは分かりません。

ネコは野生の部分を残しています。

知人の家のネコを観察していたら、夜は便所の小さな隙間から外に出かけて行きました。

朝方帰ってくることもあったり、時には1週間も帰って来なかったりしていました。

知人はネコの習性としてそれを当たり前に考えているようでした。

今では高価なネコを、ペットとして家の中で飼うことが一般的になっているようです。

ネコを家の中に拘束しておくことは、習性を考えるとネコにとって幸せなんだろうかと考えてしまいます。

ある意味で、このおばさんの行動は、ネコの習性に合わせて飼っていると言えなくもありませんね。

詭弁(きべん)だと思いますが。

(食肉目 ネコ科 ネコ属)

カモ撮りこうちゃん