咲いているセンブリを見かけた

昔からセンブリの名前だけは知っていました。

民間の胃腸薬として知られ、とても苦いのだと聞かされていました。

「日本の野草」(山と渓谷社 林弥栄 解説)には「全草を乾燥させ煎じて服用するが苦みが強く、千回振りだしてもまだ苦いことからの名である」と記されています。

相当に苦いようです。

福島県勿来の四時ダム近くの道の駅で、乾燥させたセンブリを売っているのを見かけたことがあります。

その近辺ではセンブリが採れるのだろうと思ったものです。

10月頃にいわきから小川郷を越えて、草野心平の天山文庫がある川内村に抜ける山中で、車を停めて山道に入った時、道の真ん中でセンブリが白い花を咲かせているのを見かけました。

道の駅で売っている乾燥させたセンブリ以外で、初めて見たセンブリでした。

何十年経ってもその時の光景は忘れられないままでいます。

センブリはリンドウ科なので、花の姿がリンドウに似ていて、とても可憐な風情を感じさせます。

数年前の10月に、宮城県村田から岩沼に抜ける県道25号線から南に入る雷馬場線の林道沿いの土手にセンブリが何株か咲いているのを見つけました。

嬉しくなって何枚も写真を撮りましたが、腕の未熟さと安いデジタルカメラのせいなのか、鮮明な写真は撮れませんでした。

それでも粘って写真を撮っていると、軽装のハイキング姿の高齢の夫婦らしい男女が歩いてきました。

私に「何を撮っているのか。」と尋ねるので、「センブリの写真を撮っているのです。」と応えると、女性の方が、「数年前までは、この土手一面にセンブリが生えていたのです。でもだんだん少なくなってきているようですよ。」と話してくれました。

多分生えているのを知っている地元人たちが、乾燥させて売るために、採取した可能性があります。

この辺りは頻繁に動植物の写真を撮りに入るホームグラウンドだったのに、全く気がつかずにいたのです。

センブリの写真を撮るチャンスを逃していたのだと知って、とても残念に思っています。

(リンドウ科 センブリ属)

カモ撮りこうちゃん