ヒバリは留鳥だったんだ
小さい時から春になると、麦畑の上空でヒバリがピーチクパーチクと囀っているのを聞いたものです。
高い空中での囀りを聞くと春が来たなあと実感します。
東北にいた時には、こうした光景には出会いませんでした。
麦畑もないしひばりの囀りも聞いたことがないのです。
東北ではヒバリがいないのかも知れません。
昨年の3月10日木曽川の堤防で、ヒバリの囀りを聞きました。
思っていたより早く囀るのだなあと思ったのですが、その後はずーっと聞きませんでした。
その日は好天で暖かかったので、その天候の良さに惑わされて囀ったのかも知れません。
海部郡飛島村や海津市周辺では、秋から春にかけて小麦を育てています。
4月半ばを過ぎると、麦の丈が高くなってヒバリの巣も作りやすくなるのでしょう。
ヒバリの囀りはオスが縄張り宣言をしてメスを求めるとか、産卵や育雛(いくすう)中に他のオスに対する警戒を促すために囀ると考えられます。
タカなどの天敵からすると、標的になりやすい危険な行動に思えてなりません。
その春の囀りが終わると、ヒバリの存在を全く確認することができなくなります。
なぜかその理由は分かりませんでした。
北の地方に移動していったのだと思っていたのです。
モズは10月に入ると頻繁にオスの高鳴きを耳にするようになります。
それまでの期間は山地に移動していたからです。
だから、ヒバリもそうだと思い込んでいました。
秋になって長良川や五条川の土手で、ヒバリだと思われる数羽の鳥が、叢(くさむら)から飛び出すのを何回か見かけるようになりました。
それを見てヒバリはこの近所に住み続けているのではないかと思うようになりました。
よく観察していると、秋から冬にかけて田んぼや畑などで、ヒバリだと思われる小群が採餌している様子を見かけるようになりました。
秋から春にかけて、ヒバリに似た鳥たちがやってきます。
セキレイ科のタヒバリはカムチャッカ半島などの沿海州から、ホオジロ科のカシラダカはシベリア大陸から越冬のためにやってきます。
タヒバリの姿はほっそりしたヒバリの風情ですし、カシラダカは雰囲気がヒバリに似ていて、頭の羽を逆立てるところもそっくりなので、なかなか区別がつきません。
タヒバリはセキレイの群れと行動していることが多くそれで区別しています。
またカシラダカは、地面で採餌していて危険を感じると近くの木の枝に避難するので分かります。
そんな時ヒバリは飛び立って逃げるので、それらの違いで何とか区別をつけています。
よく見るようになると、冬の田んぼで採餌するヒバリの小群や、春の芽が出たばかりの小麦畑でヒバリを目撃するようになりました。
これまでは見えども見えずだったのですね。
ヒバリは留鳥だったのだと、やっと確認しました。
(スズメ目 ヒバリ科)
カモ撮りこうちゃん