早くから見かけ、遅くまでいるコガモ

コガモはカモの中で一番小さいカモです。

遠くからでも簡単に他のカモと識別でき、数も割りと多いように思います。

蟹江周辺では、日光川、善太川、宝川と清須市の五条川でもよく見られます。

このカモはシベリア大陸から渡ってきます。

こんな小さな体でよく来るものだといつも感心しています。

水面採餌のカモで、土手の上で植物や水面上を流れて来るものを採ります。

善太川では昼前後に、水面上に口をつけて採餌しているのを見かけます。

油が流れてくることもあり、水質が良好ではないのに大丈夫かなと心配してしまいます。

何年か観察していると、コガモは9月末から10月初旬にやってきて、翌年の5月連休頃まで見かけます。

私は、カモたちにとっての故郷は産卵し育雛(いくすう)する場所だと考えていますが、日本に越冬しにきている期間は、7か月以上になります。

シベリア大陸との往復で行き帰りに各1か月位かかるとすると、シベリアには大体3か月しかいないことになります。

産卵し育雛するためにだけ帰っているようなものです。

そんな命懸けの労力を使うなら、カルガモのようにずーっと滞在していた方が良いと思うのですが、生得的に組み込まれた仕組みなのでしょう、やっぱり帰って行くのですね。

何か無駄な努力のように思えてなりません。

カモたちの多く(オナガガモ、ミコアイサ、ヨシガモなど)は、コガモより遅く来て2月末から3月初旬には帰るものが多いようです。

春に太陽高度が高くなって日射しが強くなると、体内のホルモン分泌が変化してきて、帰りたい衝動が高まるのではないかと思っています。

他のカモたち同様に10月に越冬しに来た当初は、オスメス共に地味で、コガモかどうか同定するのさえ難しい状況です。

コガモたちはこの越冬中に、オス・メス共に生殖羽に変わります。

私はメスの変化がまだ区別できませんが、オスの方は劇的に変化します。

途中に顔がまだら模様になって、綺麗とはいえない状況になります。

その経過をエクリプスと呼んでいます。

生殖羽になったオスの顔は、モダンな茶色と濃い緑のデザイン模様です。

人工的な模様で、自然が行う造形遊びのような感じがしてなりません。

この越冬中が、番(つがい)になる相手を決める大事な時期です。

シベリア大陸に帰るとすぐに産卵し育雛しなければなりません。

3か月間でヒナを育てて飛べるようにすることが、日本に越冬にくるための大事な条件になるはずだからです。

コガモのモダンなデザイン模様が見られるのは越冬中なので、私たちは一番美しい時に出会っていることになります。

(カモ科 マガモ属)

カモ撮りこうちゃん