ギンヤンマの地獄の中の地獄を見る
飛島村三福にあるモロコの養殖池は、周りをがっちりブルーのネットで囲ってあります。
そのため一度入ってしまうと、鳥や昆虫にとって抜け出すことは至難の技と言っても良いでしょう。
カワセミの項でも述べましたが、カワセミが入って抜け出せずに、ネット内をチューチュウーと鳴いたり、飛んでいるのを見かけます。
その中にコフキトンボやギンヤンマも入り込んでいます。
どうやって入り込んだのか、その中で羽化したものかは分かりません。
ネット内ではギンヤンマが飛び回っていますが出られません。
道路脇のネットに首を出しているギンヤンマのうち、首を掴んで私が網の目から取り出したのは5匹でした。
そのネット内に大きなクモ(多分オニグモ)がクモの巣を張って、待ち伏せするようになりました。
クモは囲んだネットの目を自由に出入りできます。
しかも不思議なことに、ギンヤンマが飛び回るコースに網を張っているのです。
計算され尽くした場所だと感心しました。
2~3日後にその場所に行ってみると、なんとメスとオスのギンヤンマがクモの巣にひっかかっていました。
メスの方はクモの糸に巻かれていましたが、オスはクモの巣の端にひっかかっていました。
でも既に死んでいるようでした。
モロコの養殖池に入って出られないことそのものが地獄なのに、その中でクモの巣の網にひっかかることは、更なる地獄に出会うと言っても良いのではないかと思います。
このギンヤンマが遭遇している世界は、地獄の中の地獄と言って良いような世界ですね。
ギンヤンマに起こっていることを災難で地獄だというのは、人間社会の価値観を動物の世界に投影しているとも考えられます。
クモは生きるために獲物を捕ろうとしているのですから、クモを非難することはできません。
「地獄の中の地獄を見る」というタイトルは適切なのか否かということになります。
そしてギンヤンマを5匹助けたのは可哀そうだと思ったからですが、本当に良かったかどうか、どう考えたら良いのか今思案している真っ最中です。
カモ撮りこうちゃん