東北で見かけた野生のニホンザル
野生のニホンザルの痕跡を初めて見たのは、仙山線の車中からでした。
雪が降りしきる中、作並から山寺までの間で、木の皮が順番に剥ぎとられているのを見かけました。
冬の食べ物がないときには木の皮を剥いで、それを食べて生き延びているのです。
天童周辺の山に出かけると、たびたびニホンザルの群れに遭遇します。
会おうと思って会えることはほとんどありません。
全くの偶然です。
宮城県の作並、笹谷峠、山形市の高瀬、東根市の白水川ダム、天童高原などで見かけました。
ただサルの一群だけがその範囲内を行動していて、出会っているとは考え難いのです。
一群はせいぜい10匹程度なので、この範囲内には数群が生息していると思われます。
サルの生息している北限は下北半島のニホンザルだと言われています。
東北のニホンザルはその北限に近いところで生活していることになります。
野生のニホンザルを見かけると、メスや子ザルは逃げる気配を感じますが、オスザルは全く動じる気配がありません。
堂々としています。
移動する時も、最後は大きなオスザルが殿(しんがり)を務めていました。
集団の中の序列や責任などが関係するのかもしれません。
そんなことを思わせるケースを経験しました。
国道48号線の作並温泉近くでニホンザルの群れが道路を横断していました。
トラックの運転手などは横断している場面に出くわすと、車を停めて待っています。
東北ではこれが普通の風景となっています。
次々にサルたちが渡っていきます。
中には子ザルを抱えた母親もいました。
その時、渡った先の道路の端に、大きなオスザルが渡るのを見届けていたのです。
ボスザルではないかと思われます。
全員が渡り終えると、最後に群れの方に去って行きました。
私はなぜか、凄いなと声を上げてしまいました。
天童高原でもニホンザルを時々見かけます。
秋になるとヤマグリが大量に地面に落ちています。
私たちが食べるクリよりは小さいですが、味に違いはないようです。
それを食べに来ていました。
翌年の5月に天童高原から帰る途中で、ニホンザルが移動している場面を見かけました。
電柱の電線を伝って、森の方に移動していきました。
私が写真を撮るために車を降りて、近くまで行ったら、電線を揺すって私を威嚇してきました。
人間が絶対的な存在ではないことを実感させられました。
動物園のニホンザルと野生のそれとは、全く違う存在だということを知らされたのです。
(オナガザル科 マカク属)
カモ撮りこうちゃん